研究課題/領域番号 |
09J09926
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 絵美 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イスラーム / 国家 / 宗教 / ヴェール / フランス / エジプト / 女性 / 現代 / 聖典 / サウジアラビア / 教育機関 / 裁判所 |
研究概要 |
本研究は、現代の諸国家におけるヴェール着用の制限や強制の動きを事例に、国家と宗教(イスラーム)の関係性を、比較の視点をもって捉えようとするものである。 本年度の前半には、2011年4月のフランスにおける公共の場での顔覆い着用禁止法の施行を受けて、同法の主たる根拠-ムスリム女性のヴェール着用は「男性による女性支配の結果」であるという論理や理解-の再考を促すべく、女性の主体的なヴェール着用の選択についての考察と報告を行った。具体的には、1980年代以降のエジプトで、ヴェール着用を決断した芸能人女性の言葉として流布してきたものを事例に、それらの中で何が語られ、その言葉の背後に何を読み取ることができるのかを、イスラームの教義や思想との関わりから明らかにした。 本年度の後半には、前年度までに行ってきた調査をもとに、現代エジプト(2011年「革命」以前の体制下)におけるヴェール着用制限の問題についてのまとめ(報告のための準備と論文の執筆)を行った。具体的には、1994年に発布された小・中・高等学校の女子生徒のヴェール着用制限を定めた教育省令[Qarar Wizari no.113]と、1980年代以来、複数の大学で問題となった構内での顔覆い着用禁止措置に関する議論や経過について、詳細に見ていく中で、当時のエジプトにおいて「国家」と総称されるものが、多様な宗教理解を提示する複数の機構によって成り立っていたこと、そして、一つの国家機構の提示するイスラーム理解は可変的であったことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2010年末以降のアラブ諸国における「革命」の連鎖の結果、報告者が注目していたエジプトにおいては、憲法改正や総選挙、大統領選挙の実施を含む、国家体制の見直しが始まった。そうした状況の変化とその後の行方をある程度見極める必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の当初の計画では、エジプトでのヴェール着用の制限に加えて、サウジアラビアとイランでの国家によるヴェール着用の強制という事例も取り上げ、その構造を明らかにし、それぞれの国家と宗教(イスラーム)の関係性を眺めていくはずであった。ところが、ヴェール着用の強制については、(ある程度の資料収集やサウジアラビアでの予備調査を実施しえたものの、)充分な成果を出すことができなかった。これについては、今後、継続して調査と考察を行い、成果を報告していくつもりである。
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