研究課題/領域番号 |
09J10001
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
リハビリテーション科学・福祉工学
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
中島 剛 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所・運動機能系障害研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 歩行機能再建 / 神経回路可塑性 / 脊髄神経機構 / 神経リハビリテーション / リハビリテーション |
研究概要 |
現段階で、脊髄完全損傷者が歩行機能を再獲得できる可能性は極めて低い。しかしながら、近年、幹細胞移植など神経再生に関する基礎研究が進み、臨床的にも受傷脊髄への応用が可能になる日も近いとされている。しかしながら最終目標は、日常生活に耐えうる機能回復である。おそらく、再建術後、歩行機能が劇的に回復するか否かは、受傷部より下部の脊髄神経機構が、状態よく残存していることが鍵となる。そのためには、再建術前まで、麻痺領域を支配する脊髄を含めた中枢神経系の退行を防ぎ、歩行に関わる神経回路網を維持・促進させておくことは、再建術後の機能回復を最良のものにするためにも重要であろう。この視点は、今後、再生医療が目を向けねばならない新たな課題でもある。そこで23年度は、ヒト脊髄CPG回路の活動性を促進させる方法とその可塑性に関する検討を行った。 今回は、ヒト脊髄CPG回路の活動励起の神経基盤として、まず、下肢の歩行に関連した感覚情報が上肢脊髄神経機構に及ぼす影響について、単シナプス性脊髄反射法(Hoffman反射:H反射)を用いて検討した。実験課題は、動力型歩行補助装置(Lokomat)を用いた受動歩行課題(トレッドミル速度;2km/h)とコントロール課題として、立位姿勢の課題も行った。受動歩行時における上肢H反射振幅は、立位時に比して、有意に減少した。また、これらの減少効果は、30分の受動歩行で20分程度継続した。これらのデータは歩行に関連した感覚情報に由来する脊髄神経機構の短期可塑的変化を示すものであり、今後、脊髄損傷者の痙性コントロール等のリハビリ効果への応用が期待される。また、今まで得られた脊髄神経回路の解析結果をもとに、免荷式歩行トレーニングの臨床場面に応用できる形で実験をデザインし、脊髄損傷者を用いて、検討を行った結果、歩容は劇的に改善され、歩行中の足、膝および股関節可動域の増大が確認された。 当該研究期間の研究成果より、自重負荷による荷重に関連した感覚情報、随意努力および遠位肢の運動を重視した歩行トレーニングは脊髄損傷者への歩行トレーニングとして適応可能であることがわかった。これらの結果は、脊髄神経機構の活動増大およびヒト脊髄CPG回路網の駆動を促す重要なデータであり、効率の良い新たな神経リハビリテーション法として提案できると考えられる。
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