研究課題/領域番号 |
09J10385
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 隆太 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 個人差 / 脳機能イメージング / 前頭前野 / 機能的近赤外分光法 / 光トポグラフィ / ワーキングメモリ / 機能的近赤外分光法(NIRS) / パーソナリティ |
研究概要 |
本研究は"前頭前野"と呼ばれる脳領域のはたらきの個人差・多様性を解明することを目的としている。特にワーキングメモリ機能に伴う前頭前野の活動が、気分状態やパーソナリティ特性などの心理学的要因によってどのような影響を受けるかに注目し、光トポグラフィと呼ばれる脳機能イメージング装置を用いた研究を進めてきた。本年度の主な研究の進捗は大きく以下の2点である。 (1)17名の健常成人に対して、2週間おきに3回気分状態の調査と脳活動計測をおこなった実験データの解析結果から、抑うつ気分の個人内変動と言語性ワーキングメモリ機能に伴う前頭前野活動が関係することが示され、この成果を共同研究者らとともに国際学会誌に発表した。 (2)前頭前野の中でも霊長類の進化の過程で急激に発達したことが知られている"前頭極(ブロードマン10野)"に焦点を当て、この領域における脳活動の個人差と気分状態の関係を解析した。その結果、健常成人29名を対象とした実験データにおいても、そのデータとは異なる健常成人40名を対象とした実験データにおいても、前頭極における言語性ワーキングメモリ課題に伴う脳活動の個人差が抑うつ気分の高さと負に相関することが示された。うつ病の患者においては前頭極の機能に障害がみられることが知られており、本研究の結果は健常者における"抑うつ気分"と気分障害としての"うつ病"のあいだの関連性・連続性について示唆を与えるものと言える。 3年間の研究全体では、気分状態(ネガティブ気分・抑うつ気分)、パーソナリティ特性、課題成績など複数の要因がワーキングメモリ課題に伴う前頭前野の個人差に寄与していることが明らかとなり、被験者間の脳活動のばらつきに注目した"個人差の認知神経科学"を推進することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常者において、ワーキングメモリ課題に伴う前頭前野活動の個人差および個人内変動が、気分状態やパーソナリティ特性などの複数の心理学的要因と関連することを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
申請者は2012年3月をもって博士号(学術)を取得し、2012年度からは日本学術振興会特別研究員(PD)として、社会性や倫理的価値観などのさらに高次な脳機能に関する個人差・多様性について研究をおこなう予定である。
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