研究課題/領域番号 |
09J10566
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宇佐美 篤 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | calcium imaging / G-CaMP4 / neural circuit / 光生理学 / カルシウムイメージング |
研究概要 |
1.GFPを用いたタンパク質性の蛍光Ca^<2+>センサーである改良型G-CaMPを用いることで、自由運動下での線虫神経筋活動をCa^<2+>イメージングする実験系を確立することに成功した。そして、運動方向が切り換わる際の線虫神経筋活動のイメージングと行動解析を通して、無脊椎動物である線虫においてもドパミンが方向交替時の円滑化に関わることを見出した。行動のモードの交替に先行してドパミンニューロンが活性化することを見出したことから、線虫における意思決定様の調節にドパミンが関与していることが示唆された。今回の知見は、行動を制御する神経回路メカニズムの研究を進めるにあたって、進化上保存された構成要素を有しながらもシンプルな構造をもつ生物である線虫C.elegansの有用性を示すとともに、意思や自発性の進化的な根源ならびに行動の切替の円滑化に関わるメカニズムを探求する上でも、重要な知見になることが予想される。 2.海馬歯状回の独立した2部位に電気刺激を行い、海馬体CA1野での神経応答をカルシウムイメージングにより観察した。2部位の同時刺激によってのみ発火するニューロン(AND-like neuron)や、片方のみの刺激では発火するものの同時刺激では発火しないニューロン(XOR-like neuron)が存在することを見出した。数理シミュレーションを用いて、海馬体の神経情報処理の可塑的変化に関する海馬CA3野の再帰的回路の重要性を見出すことに成功した(Kimura et al.2011)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
神経活動を可視化する上での有用なツールである、GFPを用いたタンパク質性の蛍光Ca^<2+>センサーのG-CaMP4の開発に成功した。そして、当初の記憶の固定化に関するメカニズムについては探究が及ばなかったが、それ以上に、行動中の神経活動の記録によって意思や心の進化的な起源に迫る結果を得た点については、大きな業績を上げることができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では行動切替時の神経活動に注目しているが、今後は高次機能である記憶についても、形成段階、固定段階、想起段階における神経調節機構を、イメージングや行動解析によって克明に解明していくことが可能であると考えられる。
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