研究課題
特別研究員奨励費
これまで運動時に産生される乳酸は、骨格筋に溜まる老廃物であると考えられてきた。しかしながら、近年では、乳酸は運動時に骨格筋で使われるエネルギー基質であることが示されつつある。そこで、本研究では、非常に高い運動能力をもつサラブレッドを主に実験動物として用い、モノカルボン酸トランスポーター(MCT)を中心とした、運動時の乳酸代謝に関する知見を深めることを目的として実験を行った。本年度は、トレーニングによりMCTが増加するメカニズムを明らかとするため、一過性運動によるMCTの変化についてまず検討をおこなった。サラブレッド12頭を用い、漸増負荷試験によるパフォーマンステストを行った結果、MCT1、MCT4のmRNAおよびタンパク質量は一過性運動によって数時間後に増加し、24時間後には運動前のレベルまで戻ることが明らかとなった。また、疲労困憊に至る一過性運動によるMCTの変化においてトレーニング状態による適応の違いはみられなかった。したがって、トレーニングによるMCTの適応は、単回の運動による一過性のmRNAおよびタンパク質量の増加を繰り返すことで起こることが示唆された。さらに、マウスにおける共働筋切除による代償性筋肥大モデルを用いて、MCTを増加させる因子について探索することにした。その結果、足底筋におけるMCT1およびMCT4タンパク質量の増加に先行して、血漿テストステロン濃度、足底筋のAMPKのリン酸化レベルが増加することが明らかとなった。このことから、MCTの発現にこれらの因子が重要な役割を果たしていることを示唆された。
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