ドセタキセルの肝取り込み機構を明らかにするために、各種取り込みトランスポーターの遺伝子発現細胞を用いて基質認識を調べたところ、ドセタキセルはOATP(organic anion transporting polypeptide)1B3の選択的な基質となることが示され、また、ヒト凍結肝細胞における取り込みに対して、estrone-3-sulfateが阻害をしなかったことから、OATP1B1の寄与は小さいことが示唆された。一方、MRP2(multidrug resistance associated protein 2)については、MRP2を欠損したラットEHBR由来の骨髄、もしくはMRPの阻害剤であるMK571を共存下における、G-CSFで誘起される骨髄細胞の好中球系列への分化によって見られるコロニー形成に対するドセタキセルの阻害作用は、通常の時と比較してより低濃度でみられたことから、血球細胞もしくはその前駆細胞上にMRP2が発現しており、血球細胞内へのドセタキセルの侵入を抑制する方向に働いていることが示唆される結果を得た。さらに、MRP2の機能を定量的にヒトで評価するために、MRI造影剤であるGd-EOB-DTPAの利用可能性について検討を行った。その結果、Gd-EOB-DTPAは、MRP2の良好な基質となることが確認され、将来的にMRP2プローブ薬として利用できることが示された。
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