研究課題/領域番号 |
09J10943
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 秀行 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | サイトカイン / TGFβ / JAK / STAT / シグナル伝達 / 阻害剤 / チロシンキナーゼ / 免疫疾患 / IL-6 / 抑制性T細胞 / Th17 / アトピー性皮膚炎 / 消化管 / Foxp3 / CD4T細胞 |
研究概要 |
ヘルパーT細胞サブセットTh17と誘導型抑制性T細胞iTregが消化管の免疫恒常性維持に必須な役割を果たしている。ヘルパーT細胞の分化を決定するサイトカインはJAKチロシンキナーゼを活性化しそれぞれ特徴的なSTATを活性化する。本研究ではJAKキナーゼ活性を阻害するCP690550(CP)とPyridone6(P6)を用いてT細胞におけるJAK-STAT経路の意義と病態との関連を明らかにした。CPとP6はいずれもIFNγ誘導性のSTAT1、IL-4誘導性のSTAT6、IL-2誘導性のSTAT5の活性化を5-30nMで抑制したが、IL-6誘導性のSTAT3の活性化に関しては100nM以上を必要とした。これに伴いCPとP6はTh1とTh2の分化を抑制する一方で、Th17の分化は顕著に促進させた。これらの結果からCPはJAKsおよびSTATsの間で異なる効果を示し、それによりTh分化に影響を及ぼす事が示唆された。次に、JAK阻害剤によるTh阻害の生体レベルでの効果をマウス病態モデルで検討した所、CPは関節リウマチモデルであるコラーゲン誘導性関節炎を強く抑制した。しかし同じ濃度(15mg/kgマウス体重)において、Th17が発症に深く関わるとされる実験性自己免疫脳脊髄炎モデルではその発症を促進させた。またP6はTh2関連疾患であるアトピー性皮膚炎を強力に抑制した。このモデルにおいてもTh2の抑制とTh17の促進を認めた。 Th17関連サイトカイン(IL-17、IL-22)のアトピー性皮膚炎モデルにおける役割を検討した所、IL-17とm-22は皮膚の損傷の修復を促進させ、アトピー性皮膚炎の発症を抑制した。以上より現在有望視されているJAK阻害剤は様々な免疫疾患に有効であるが、各Thサブセットの分化抑制効果には差異があり、対象疾患選択には十分な検討が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体内でのJAK阻害剤のTh分化における影響を解析した研究は世界ではじめてであり、価値ある成果が得られたと思われる。
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