研究課題/領域番号 |
10041036
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80201052)
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研究分担者 |
中川 武 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063770)
高宮 いづみ 早稲田大学, 文学部, 講師 (70221512)
近藤 二郎 早稲田大学, 文学部, 助教授 (70186849)
柏木 裕之 日本学術振興会, 特別研究員 (60277762)
西本 真一 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (10198517)
秋山 慎一 早稲田大学, 商学部, 講師 (20221715)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 16,900千円)
1999年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1998年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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キーワード | ラメセス2世 / カエムワセト / 石造建造物 / トトメス4世 / 日乾煉瓦遺構 / 彩画片 / 青色彩文土器 / 第18王朝 / エジプト / 北サッカラ / アブ・シール南 / 新王国時代 / 末期王朝時代 / 日乾レンガ建造物 |
研究概要 |
1998年度から1999年度にかけて実施されたアブ・シール南丘陵頂部遺跡の調査では、主に発掘調査を行った。なお、それまでの発掘調査によって、丘陵頂部の東側部分において、ラメセス2世の第4王子、カエムワセトの手になる石造建造物が検出されていた。こうした経緯を受けて、過去2年の発掘調査では、丘陵頂部の西側部分が主な調査地区となった。 発掘調査の結果、日干煉瓦で造られた建物址がその全貌を明らかにした。22m×25mの平面規模を測るこの建物自体は大きく破壊されていたものの、その周囲に厚く堆積していた土砂を取り除くことで、建物の往時の姿を推測する手がかりを得ることができた。すなわち、建物の外側の地面を削りだし、あたかも基壇の上に日干煉瓦の建物が築かれたかのように見せる工法が採られていた。日乾煉瓦遺跡が非常に壮大な構想のものとに築かれた建物であったことが分かったのである。 過去2年間の発掘調査によって得られた資料の中で特に目を惹くのが、トトメス4世の名が刻まれたもので、ステラやスタンプ付き泥煉瓦、封泥などがこれにあたる。同王に関連する活動が丘陵頂部で営まれたことはほぼ確実と考えて良く、特に10枚以上の出土点数を数えた一連のステラは、トトメス4世がこの小さな丘を特別視していたことを示す貴重な資料と位置づけることができる。また、鮮やかな顔料で描かれた彩画片や、ファイアンス製のタイルなども出土した。これらの遺物は、この日乾煉瓦遺構を飾っていたものと考えられ、少なくとも一時期において、当遺構が、王の活動の場にふさわしく極彩色に彩られていたことを示唆している。 以上の成果は、第18王朝における諸王の活動についてさまざまな課題が残されている当該地区の学史に照らし合わせた場合、極めて重要な意味合いを持つことは確実であろう。
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