研究課題/領域番号 |
10041045
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 東京国立博物館 |
研究代表者 |
西岡 康宏 東京国立博物館, 学芸部, 学芸部長 (40000351)
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研究分担者 |
望月 幹夫 東京国立博物館, 学芸部・考古課, 有史室長 (60141991)
小泉 惠英 (小泉 恵英) 東京国立博物館, 学芸部・東洋課, 主任研究官 (40205315)
臺信 祐爾 (〓信 祐爾) 東京国立博物館, 資料部, 研究指導室長 (80163715)
谷 豊信 東京国立博物館, 学芸部・東洋課, 北東アジア室長 (70171824)
後藤 健 東京国立博物館, 学芸部・東洋課, 西アジア・エジプト室長 (40132758)
井上 洋一 東京国立博物館, 考古課・先史室長, 室長 (60176451)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
28,500千円 (直接経費: 28,500千円)
1999年度: 13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
1998年度: 15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
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キーワード | パキスタン / 仏教寺院 / ストゥーパ / ザールデリー / ガンダーラ / ハザーラ / カローシュティー / 僧院 |
研究概要 |
パキスタン北西辺境州ハザーラ地方マンセーラ地区に位置するザールデリー仏教寺院遺跡の発掘を実施した。98,99年は、寺院北側の僧院(東西85m、南北52m)を中心に調査を行った。 僧院区東側には、「ロ」の字に配置された僧房群がある。僧房(3m四方)は、各辺に約9室設けられ、いずれも内側に入口をもつ。僧房の前にはテラスが巡り、その内側にはテラスより約60cm低い中庭(東西29.9m、南北28.3m)が作られる。中庭南東隅には沐浴場(4.5m四方)がある。中庭北側には排水設備を備えたバスルームが東西に5室並ぶ。中庭のほぼ中央には、南北に走る高さ約10cm程の分離壁が作られ、中庭を東西に二分する。これらは僧院も含め同時期の建造である。 北側僧房列の1室から130点を越える大量の片岩製の浮彫彫刻、建築部材が出土した。僧房内の当時の地表面に整然と積み重ねられており、寺院廃絶前後に収められたと思われる。一部にはカローシュティー文字による銘文があり、本遺跡の歴史を探る手がかりが増加した。 又、99年にはストゥーパ地区で追加発掘を行い、ストゥーパ基檀に付設された階段の規模、形状、ストゥーパ区における奉献塔の存在確認調査を実施した。ストゥーパ東階段は幅8.8mを計測した。階段は方形基壇の各面に取り付けられ、基本的に同じ形状を持つが、細部の意匠は異なっている。ストゥーパ区北側でストゥーパ造営時の地表レベル付近から3つの石組遺構の存在を確認した。奉献塔の遺構は発見されなかった。 ガンダーラ美術の研究は、出土地不明の作品が多く、様式的、年代的研究に大きな困難が伴う。今回の調査で出土した130点を越える彫刻作品は、その欠を補う極めて貴重な資料である。今後、作品の詳細な分析を行うことで、これまでに調査が不十分であったインダス河東岸におけるガンダーラ美術の研究に新たな展開が期待される。
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