研究課題/領域番号 |
10041055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 教授 (10192808)
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研究分担者 |
江口 一久 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (90045261)
端 信行 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 教授 (90044742)
和田 正平 甲子園大学, 人間文化学部, 教授 (50110086)
栗田 和明 立教大学, 文学部, 教授 (10257157)
竹沢 尚一郎 九州大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10183063)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
28,900千円 (直接経費: 28,900千円)
2000年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1999年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1998年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | アフリカ / エスニシティ / 文化運動 / 伝統の創造 / アイデンティティ / 出稼ぎ / ディアスポラ / 先住民権運動 / デイアスポラ |
研究概要 |
アフリカにおいては、民族意識の高揚にともない、とくに1980年代以降、民族の伝統を再編し、民族独自の文化を創造しようという文化運動が各地で活発化している。本研究は、こうした文化運動に焦点をあて、その実態を明らかにするとともに、そうした運動によるエスニシティ形成のメカニズムを明らかにすることを目的として発足した。 調査対象は、アフリカ全体を視野にいれた比較研究を実施するという視点から、地域的にはアフリカ各地にまたがり、また運動の形態の上でも、宗教運動から美術や音楽・舞踊、祭礼の創造・再編に代表される芸術運動から、さらには博物館建設運動に至るまで、多岐にわたった。それらの比較検討を通じて、エスニシティの編成を大きく左右する要素として、祭りやスポーツの展開、伝統工芸の処遇(交易や展示)、普遍宗教の動向、そして人口の移動といった事象が抽出されてきた。また、単にアフリカ内部だけでなく、ディアスポラにおける民族意識のありかたや、欧米における先住民権支援運動の動向も、エスニシティの編成に大きな影響をもっていることが明らかとなった。 これまでの調査により、文化運動の基本的類型は概ね把握できたと考えられる。一連の研究を通じて、とくに芸術に焦点をあてた文化運動は、欧米人による介入が運動の成立とその後の展開の大きな要因になっていることが確認された。一方で、宗教運動や人口の移動や集中にともなう生活運動のなかには、外的な影響を契機としつつも、その後の展開においては極端に排他的な展開をみせる運動形態も存在する。ただ、いずれにせよ、文化運動の動向とエスニシティのありかたは、それぞれの民族の外部世界とのグローバルな相互関係の網の目のなかで編成されてきていることが浮き彫りにされた。いわば、アフリカ文化をめぐるグローバル・エスニック・ネットワークの存在を確認したことが本研究の最大の成果である。
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