研究分担者 |
伊藤 るり 立教大学, 社会学部, 教授 (80184703)
梶田 孝道 一橋大学, 社会学部, 教授 (10133357)
佐久間 孝正 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80004117)
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 講師 (22821159)
辻山 ゆき子 共立女子大学, 国際文化学部, 講師 (10259335)
D.THRAE1NHAR ディー ドイツミュンスター大学, 政治学部, 教授
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研究概要 |
多くの西欧諸国では, 外国人労働者の新規受け入れは停止され, その一方, 既滞在の定住の度を強めている移民とその家族の社会的統合をいっそう進めることが課題となっている。このため, 社会保障, 住宅, 教育, 職業訓練などが重視され, 昨年のドイツの例にみられるように帰化の容易化, 国籍法における出生地主義原則の導入等の新機軸もみられるようになった。しかし, これらの政策は国によって相当に異なり, その背景には歴史伝統や国民観念の違いも伏在している。EUは移民政策に関しては, 入国管理の方法, 難民の受け入れの規制, においては共通の政策(シェンゲン条約, ダブリン条約)を採用しているが, 移民の社会的統合についてはほとんど共通政策をもっていない。しかし, 今回の調査を通じてわれわれは, 少なくともEUが, 「欧州市民権」によって域内移民の市民的権利の向上を図っていること, 域内移民と域外移民の権利上の差別を低減するため後者の受け入れの改善を志向していること, 人種差別や外国人敵視を防止するための教育, 啓蒙を重視していること, アムステルダム条約(1997年)によって共通政策化の分野を拡大しようとしていることを確認できた。以上の動向を今後も追究していきたい。
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