研究分担者 |
根建 洋子 鹿児島純心女子短期大学, 生活学科, 助教授 (80290659)
奈良岡 洋 (奈良岡 浩) 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20198386)
林 謙一郎 東北大学, 理学部, 助教授 (40124614)
掛川 武 東北大学, 理学部, 助手 (60250669)
大本 洋 ペンシルヴァニア州立大学, 地球科学科, 教授
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研究概要 |
研究協力者であるペンシルヴァニア州立大学の大本洋教授は,「地球上の種々の現象は種々のフィードバック機構により制御され、過去35億年間基本的には大きく変化して来なかった」との新説を提唱した.従来の地球科学及び生物科学を支配してきた概念「地球は常に変化し続けてきた」に対する重大な問題提起である。本研究の目的はこの検証である。すなわち,太古代・原生代に生成した大規模な縞状鉄鉱床の物理的、化学的及び生物学的生成環境とプロセスを解明することにより、地殻・大気・海洋・生物の正確な進化史及びフィードバック機構を解明し、新しい地球観を創成することを目的として,2年間にわたって南アフリカ,ナミビア,オーストラリアの35億年前から6億年前までの,縞状鉄鉱層のみならず各種の岩石を調査すし,採集された試料の岩石学的・鉱物学的および種々の地球化学的性質を明らかにした。その結果,我々の作業仮説が正しかったことを裏づける結果が多数でてきた。28億年前のMt.Roe古土壌から鉄が溶脱しているので原始大気に酸素がなかったと言われていたが今回の調査でこれは還元的熱水による粘土帯であることが明らかになった。また南アフリカやカナダの太古代の砕屑性黄鉄鉱と閃ウラン鉱の存在が還元大気の証拠とされていた点についても,むしろ酸化環境の証拠とさえなりうることを示した。同様のことが太古代の頁岩中の硫黄同位体や微量元素,海底噴出の枕状溶岩の酸化状態,縞状鉄鉱層の地球化学から証明した。また南部アフリカには広く酸化した古土壌が広く分布していることも発見した。これらの結果は世界各地(直接にはフランスとオーストラリア)で発表し,討論した。
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