研究分担者 |
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30221930)
中静 透 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (00281105)
鈴木 英治 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10128431)
大崎 満 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60168903)
小林 繁男 北海道大学, 森林総合研究所, 海外研究協力官(研究職)
東 昭雄 (東 照雄) 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (20094170)
柴田 英昭 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (70281798)
TURNER Ian シンガポール国立大学, 生物学科, 講師
|
配分額 *注記 |
17,300千円 (直接経費: 17,300千円)
2000年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1999年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
1998年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
|
研究概要 |
東南アジアの熱帯低地多雨林は,有機物蓄積量でも,一次生産速度においても,もっとも巨大な生態系である.この自然生態系は人間活動により急激に変貌しつつあり,さらに大気二酸化炭素濃度の上昇と気候変化に対応して生態系諸機能の加速的変化を遂げつつある.したがって,熱帯多雨林の変化過程を高い精度で追跡観測することは,地球環境の変化を予測していく上できわめて重要な課題である.本調査は,すでに典型的な気候極相である低地混交フタバガキ林および貧栄養な立地上に成立する内陸泥炭湿地林・ヒース林に設定されている永久調査区を対象として,森林動態パラメータの変化を観測し,熱帯低地多雨林における有機物空間パターンの変容過程を抽出することを目的とした. 主なフィールド調査は,ボルネオ島南部中央カリマンタン州のヒース林と泥炭湿地林で実施した.同州都パランカラヤ市周辺に散在する保護区域内のヒース林と泥炭湿地林に設置した1ヘクタール規模の永久調査区を調査対象として,一連の環境・森林生態系調査を実施した.とりわけ,1997年のエルニーニョによる乾燥影響が把握できるデザインとなった. また,すでに1992年来設定している西カリマンタン州ランダック川中流部のスリンブの混交フタバガキ林の追跡データから,森林のギャップ動態・サイズ分布動態を再現するモデルを提出した.さらに,本研究では,マレーシア領サバ州のキナバル山の植生と,サラワク州での予備調査,またブルネイ領のタセック・マリンブン保護地における泥炭湿地林の調査区設営など,ボルネオ島の森林タイプを広くカバーする野外調査を実施した. これら永久調査区の同時追跡データによって,きわめて急速に進行している森林の人為的な衰退が,ボルネオ熱帯林のポテンシャルに及ぼしつつある影響が,今回のセンサスと今後のその継続によって的確に把握できるものと考えている.
|