研究概要 |
シオマネキ類は主に熱帯に分布し,新大陸では社会行動が良く発達している。そのような場所において,社会行動が生存や繁殖成功度にどう関係しているか明らかにする。シオマネキ類の色彩,形態,社会的シグナルの意義についても明らかにする。そのために,パナマ運河の太平洋側の干潟においてシオマネキ類の社会行動,摂餌行動,トリによる捕食を調べた。Uca musicaの求愛行動である発音の長さは交尾雌の卵巣の成熟度とともに短くなった。別の求愛行動であるUca beebeiのウエービングのエネルギーコストの指標になる血中ラクテートを測定したところ,ウエービングでラクテートが増加する傾向が見られた。地上での活動が始まる前にグルコースは高い値を示したが,ウエービングの活発な雄はその後も高い値を維持したが,不活発な雄では直後にグルコースは減少した。シオマネキ(Uca beebei)の雄は雌に比べてトリ(grackle)に捕食される割合が高く,性選択との関連を調べた。Uca panamensisは転石地に棲息するが,砂泥の底質と石上で採餌する割合の変える原因を調べた。最後に,新大陸のスナガニ科はシオマネキ属とスナガニ属の2属だけで,インド,西太平洋のスナガニ科(13属以上知られている)と較べ,属数が著しく少ない。分布と棲息環境の調査で,インド,西太平洋地域のスナガニ科が占めている様なニッチを、新大陸では2属で占めていることも明らかになった。
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