研究課題/領域番号 |
10041208
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
山内 博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90081661)
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研究分担者 |
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
斉藤 秀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (90308445)
網中 雅仁 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30231997)
佐藤 勉 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (60130671)
相川 浩幸 東海大学, 医学部, 講師 (40102850)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 慢性砒素中毒 / 中国 / 皮膚障害 / 色素沈着 / 色素脱失 / 角化症 / 井戸水中砒素 / メチル化 / 砒素中毒 / 疫学研究 / 発ガン性 / 色素脱色 |
研究概要 |
現在、地球規模で井戸水の無機ヒ素汚染により大規模な慢性ヒ素中毒が発生しており、高濃度な無機ヒ素暴露者の総数は約1300万人に達し、インド・バングラディシュが1000万人、中国が200万人と推測され、そのうち約20%には既に慢性ヒ素中毒の症状が出現していると考えられている。本研究の調査対象地域は内モンゴル自治区と山西省に限定した。この研究における成果は、下記の結果である。 1.慢性ヒ素中毒の原因は井戸水に含有する無機の五価ヒ素であることを明らかにした。 2.一日の井戸水からの平均的な推定のヒ素摂取量は約1mg、そして、3mg程度に達する機会は頻繁に存在することを明らかにした。 3.慢性ヒ素中毒患者には肝臓中で無機の五価ヒ素に対して解毒機序(2段階のメチル化)が存在した。 4.胎児性ヒ素中毒患者の存在を少数であるが確認した。 5.軽度(05-1ppmの井戸水中ヒ素濃度)の無機ヒ素暴露による慢性ヒ素中毒の皮膚症状は、腹部の色素脱色、色素沈着、そして手・足の裏のヒ素性角化症の順で認められる傾向があった。 6.高濃度(1-3ppmの場合)の無機ヒ素暴露からの慢性ヒ素中毒の皮膚症状は、ヒ素性角化症が色素脱色や色素沈着と同時に出現、もしくは先行する事例の存在することを確認した。 7.慢性ヒ素中毒の皮膚症状に関して男性は女性に比較して重症であり、性差の存在することを確認した。 8.無機ヒ素暴露が20年未満においては、多くの場合、発癌性は観察されていないことを確認した。 9.無機ヒ素暴露により発癌性のリスク評価には、尿中DNA損傷物質(尿中8-ヒドロキシルグアノシン)の測定が有効であることを明らかにした。 10.慢性ヒ素中毒患者が0.05ppm以下の飲料水の使用により、体内からヒ素は急速に排泄された。 11.慢性ヒ素中毒の予防や改善は可能であることを明らかにした。具体的には、0.05ppm以下の飲料水の使用により、角化症は改善することを明らかにした。
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