研究課題/領域番号 |
10044073
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
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研究分担者 |
小穴 英廣 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20314172)
熊沢 紀之 茨城大学, 工学部, 助教授 (70137256)
LINDEMAN B.O ルンド大学, 物理化学科, 教授
KABANOV V.A. モスクワ大学, 化学学部, 教授
VASILEVSKAYA バレンチナ ロシア科学アカデミー, ネスメヤノフ有機素子化合物研究所, 上級研究員
KHOKHLOV A.R ロシア科学アカデミー, ネスメヤノフ有機素子化合物研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 長鎖DNA / コリ-グロビュール転移 / 単一分子鎖観察 / 蛍光顕微鏡 / 単分子凝縮 / 融解転移 / 界面活性剤 / 折り畳み転移 / コイルーグロビュール転移 / コイル-グロビュール転移 / 単分子観察 / ミセル |
研究概要 |
本研究は、長鎖DNA分子のコイル-グロビュール転移の特性やグロビュール微細構造の安定性について実験と理論の両面から明らかにすること、更には高次構造制御の方法論の確立を目的として研究を行った。そして本共同研究において、陽イオン界面活性剤と複合体を形成した長鎖DNA分子を蛍光顕微鏡法を用いて単一鎖観察し、複合体は、アルコール濃度の増加に伴い、グロビュール(凝縮状態)からコイル(沖長状態)を経て再びグロビュールとなる、リエントラントな転移を示すことを発見した。中程度のアルコール濃度でDNAがコイル状態として存在することから、この環境はDNAにとって良溶媒であると示唆される。一方、アルコール濃度が低いとき、および高いときの双方において、グロビュール状DNAが現れることから、この環境は複合体に対して貧溶媒であると考えられる。しかしながら、高アルコール濃度において生成されたグロビュール状態のDNAは予想に反して可溶性であった。すなわち、DNA複合体にとって後者の環境というのは、可溶性から考えると良溶媒であり、高分子高次構造の点から見ると貧溶媒であると言える。この複合体の持つそのような独特な性質は、界面活性剤がグロビュール状DNA全体を被覆し、かつ凝縮状態のDNAの表面エネルギーを低くするという、ミセル形成の効果に起因すると考えられる。CTAB非存在下のアルコールによる高次構造変化と、異なるアルコール濃度における複合体のCDおよびUV分光法による観察に関する実験からも、この結論を支持する結果が得られている。又、これ以外の重要な成果としては、DNA折り畳み転移と、二重鎖融解転移間のcross talkがあげられる。これも、これまでに類を見ない新しい発見である。
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