研究分担者 |
勝良 昌司 京都産業大学, 理学部, 教授 (80065870)
DOMOSI Pal Lajoc Kossuth大学, 数学計算機学科, 教授
GECSEG Feren Jozset Attila大学, 情報科学部, 教授
IMREH Balazi Jozset Attila大学, 情報科学部, 推教授
ESIK Zoltan Jozset Attila大学, 情報科学部, 教授
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研究概要 |
研究中,オートマトン,とくに非決定性有向オートマトンの研究を行った.決定性完備オートマトンA=(A,X) の場合,有向性の定義はX上の語uが存在して|Au^A|= 1が成り立つというかたちで一意的に定まるが,非決定性オートマトンの場合は複数の定義が可能である.A=(A,X)を非決定性オートマトンとする.uをX上の語とする. (D1)(∃c ∈A)(∀a ∈A)(au^A={c}),(D2)(∀a,b ∈A)(au^A=bu^A),(D3)(∃c ∈A)(∀a ∈A)(c∈ au^A) のいずれかの(Di)が成り立つとき,uはAのD_i有向語,またAをD_i有向オートマトンとよぶ.AのD_i有向語全体の集合をD_i(A)と記す.決定性完備オートマトンの場合は,(D1) - (D3)の概念は一致しD_1(A)=D_2(A)=D_3(A)が成り立つ.これらをD(A)と記す.次に,L_<ND(i)>={D_i(A)|A : D_i有効オートマトン},L_<CND(i)>={D_i(A)|A : 完全D_i有向オートマトン},L_D={D(A)|A : 決定性有効オートマトン}と正規言語のクラスの部分クラスを定義する.それぞれのクラスはL_Dを除いて集合和については閉じていないが,集合積については閉じている.これらのクラスの間に成り立つ関係としては,L_<CND(2)>=L_D, L=_<CND(3)>=L_D, L_<CND(1)> ∩L_<ND(2)>=L_D, L_<CND(1)> ∩ L_<ND(3)>=L_D等があり,包含関係により半順序集合をなし下半束になる.オートマトンのクラスを可換非決定性有向オートマトンのクラスに限ると対応する言語のクラスとしてL´_D, L´_<ND(i)>, L´_<CND(i)>が得られる.これらのクラスの間では,包含関係L´_D=L´_<CND(1)>=L´_<CND(2)>=L´_<CND(3)> ⊂ L´_<CND(1)>=L´_<CND(3)>⊂L´_<CND(2)>が成り立つ.決定性完備オートマトンのクラスについては Cerny の予想とよばれる有名な問題がある.状態数 n の決定性完備オートマトンAに対して|Au^A|=1となる最短の語 u の語長を p(A) とする.次に A を状態数 n の決定性完備オートマトンのクラスの中でうごかしたときの p(A) の最大値を d(n) とする. d(n)=(n-1)^2というのがCernyの予想であるが,未解決の問題である.状態数 n の可換非決定性有向オートマトンの種々の部分クラスに関して d(n) に対応する値を決定した.以上の結果はおもに研究代表者の伊藤正美と分担者のB. Imreh との共同研究として得られた.研究代表者と分担者の勝良昌司,Z. Esik が行った共同研究としては,半順序集合および言語上のシャフル演算,可換演算の研究がある.また研究代表者と分担者の勝良昌司,P. Domosi が行った共同研究としては,回文のみから構成される稠密文脈自由言語の研究がある。
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