研究分担者 |
壹岐 伸彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50282108)
星野 仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20124620)
TIMERBAEV An ロシア科学アカデミー, ベルナドスキー研究所, 主席研究員
SPIVAKOV Bor ロシア科学アカデミー, ベルナドスキー研究所, 教授
SHPIGUN Oleg モスクワ国立大学, 化学部, 教授
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研究概要 |
本研究の目的は,細管電気泳動(CE)システムにおける化学システム,"微量金属イオンと結合する配位子とそれによって生成した錯体と相互作用する物質の組み合わせ"をCE流動反応場に持ち込むことによって,それぞれ単独では発揮し得ないであろう超精密分離機能とフェムトモルに達する超高感度性を創出しようとするところにある. 主な研究成果は以下の通りである. 1.キレート配位子システムの設計・探索・合成:新たなポリアミノカルボン酸類として,フェノール基を持つポリアミノカルボン酸N,N-Bis(hydroxybenzyl)ethylenediamine-N,N-diacetate(HBED),およびHBEDの臭素化誘導体(Br_2HBED),並びにフェニレンジアミン基体のphenylenediamine-N,N,N',N'-tetracarboxylate(PDTA)を取り上げ,それらの錯形成挙動と金属イオンCE分離特性を系統的に調べた.その中でHBEDが三価金属イオン選択性を,PDTAがCaイオン選択性を有することを発見した. 2.CE泳動マトリックスとしての高分子電解質の検討;陽イオン性高分子電解質,塩化ポリアリールアンモニウムなどの選択によるCEピーク分離機能の向上に成功し,その有用性を項目1に示した配位子系の他,ethylenediaminetetraacetate(EDTA)およびcyclohexane-1,2-diaminetetraacetate(CyDTA),について実証した.また,ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)をイオン泳動制御試薬として利用するCEシステムにおいて各HBED錯体アニオンの泳動時間序列はイオンクロマトグラフィーの保持時間の順序と概ね一致しており,イオン泳動制御パラメータは高分子電解質-分離アニオン間のイオン交換相互作用によることを明らかにした. 3.新しい金属イオン捕捉試薬チアカリックスアレーンの開発:フェノール4分子を硫黄原子で架橋したチアカリックスアレーン誘導体を開発し,そのEC分離系に対する適合性を確証した.架橋硫黄原子の選択酸化法(スルホン,スルホキサイド)を見出し,チアカリックスアレーンの金属イオン選択性を制御することに成功した.
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