研究概要 |
代表者は超高真空の表面分析装置内に手作り(世界唯一)の固体間力計測システムとそれを解釈する理論を発表した.Burnham,Pollockのグループは原子間力顕微鏡とほぼ同じ原理の表面力スペクトロスコピーの結果を得た.我々は互いに類似の結果を得て,そのメカニズムを理解するために,電子メールにより議論を続けてきた.その結果,代表者のシステムに,Burnham,Pollockのグループの力計測システムを組み込むことが最も有効であることが判明.共著の論文にて公表した.1996年秋,代表者はBurnhamおよびPollockを訪問,今後の方針について打ち合わせた.それに基づき,1998年度から1999年度の間に,本研究予算を用い,共同研究を円滑に進めることができた.本研究予算は,別に報告したとおり,殆ど旅費に充ている. 超高真空のAuger電子分光装置内に構築した力計測システムをより高剛性のシステムに改造することができた.また,試料の加熱についても新しい加熱システムを設計し導入する事で解決できた.力分解能とシステムの剛性の関係ついてさらに検討を加えた結果,高剛性(低力分解能)領域ではsemiconductor transducer方式が力の分解能をより高くできるが,低剛性(高力分解能)領域では,Double Cross Cantilever方式が優れていることも判明した.そのシステムを用い,いくつかの試料について計測を行った.計測結果は大まかな点で,高橋らの理論により予測される値に近いことを示唆した.同時に,試料作製時に残った表面凹凸を除去することが意外に難しいことが判明.また,高剛性化によって振動の影響を受けてしまうという問題点も明らかになった.
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