研究分担者 |
高田 滋 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60271011)
大和田 拓 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40223987)
青木 一生 京都大学, 工学研究科, 教授 (10115777)
VINICIO Boff ローマ大学, 工学部, 教授
CALRO Cercig ミラノ工科大学, 工学部, 教授
杉元 宏 京都大学, 工学研究科, 講師 (50222055)
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研究概要 |
1.低圧気体の二次元ベナール問題を日伊で分担し研究した.日側はこの問題を総合的に研究し,古典流体力学で知られていたこの問題の安定限界とは別種の,新しい限界の存在を示した.さらに,これが古典流体力学でも存在することを示した.また,単一では安定に存在するロール解を並べた多ロール列解の安定性と,不安定解の新しいロール列解への遷移の様子を明らかにした.伊側はこの問題の安定限界を超えた範囲でカオス的な振舞いをする流れの例をモンテカルロ直接シミュレーション法(DSMC法)により示した. 2.日側は,蒸発・凝縮を伴う2重円管のクエット流の分岐について研究した.まず,内部の円管だけが回転している場合の分岐の成り立ちを,DSMC法によって初期値問題から検討し,初期値と定常解との関係を明らかにした.さらに安定性問題をDSMC法で扱う際の困難な点を系統的に調べ,同法による研究を進めている伊側にその資料を提供した.つぎに,円管の回転速度が遅い場合の弱低圧気体に対象を限定し,2つの円管が共に回転する場合も含めた系統的な解析を行った.その結果,この場合における分岐の構造の全容が明らかになり,内部円管だけが回転している場合の分岐解に加え,多様な型の分岐解が存在することを新たに見出した. 3.日側は,低圧気体に特有の,温度場による流れを巧みに利用した真空ポンプの可能性を実験により検討した.その結果,既に行った数値解析の結果と整合する流れが観測され,このポンプの有効性が実証された.また,この結果も含め,温度場による低圧気体の流れについて従来の成果を統括した. 4.日側は,平面凝縮相への凝縮流についての従来の成果を統合・系統化し,別の立場から蒸発・凝縮流について総合的著述を進めている伊側にこの資料を提供した. 5.伊側の提案で無限に強い衝撃波の共同研究を行い,日側の直接的数値解法を適用して伊側が課題にしていた速度分布関数の特異性の構造を解明した.また,日側はボルツマン方程式の直接的数値解法およびDSMC法を時間について高次精度化し,それを衝撃波の伝播および反射の問題に適用した.
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