研究概要 |
近年,コンクリート構造物の高層化,大型化,高耐久化に伴い,そこに用いられるコンクリートに要求される性能も高度化・多様化してきた。とりわけコンクリートの高強度化は,橋梁のスパンを大きくすることを可能にするなど,設計上の自由度を広くするだけでなく,耐久性も大幅に改善できる。 しかしながら,このような高強度コンクリートを活用するためには,解決しなければならない点も多い。このような高強度コンクリートが最も有効に利用されるプレストレストコンクリート構造の設計においては,クリープおよび乾燥収縮ひずみを正しく予測することが重要である。 また,コンクリートをとりまく情勢も変化しつつある。近年におけるコンクリート構造物の急速な高機能化により,ハイパフォーマンスコンクリートの重要性がますます高まってきている。現在提案されているJSCEの予測式は,普通強度コンクリートを対象とした予測式である。そのため,高強度コンクリートまで適用可能なコンクリートの時間依存性ひずみ予測式を確立する必要がある。 本研究では,各諸国のデータバンクに収められているクリープひずみおよび乾燥収縮ひずみの実験デ-タ,また,共同研究機関で実施された実験のデータを用いて,現在までに提案されている予測式の検証を行い,問題点を明らかにした。また,圧縮強度の影響を考慮することで,100MPaを越えるような高強度コンクリートまで適用可能なクリープおよび乾燥収縮ひずみ予測式の確立および提案を行った。
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