研究分担者 |
渡辺 知保 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70220902)
稲岡 司 熊本大学, 医学部, 講師 (60176386)
門司 和彦 長崎大学, 医療短期大学部, 教授 (80166321)
村山 伸子 東北大学, 医学部, 講師 (80219948)
ラマスタ バンティブ マヒドン大学, アセアン健康開発研究所, 助教授
カリム エナムール 疫学疾病予防研究所, 疫学部, 主任研究員
ウオンコムトオン ソムア 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70282613)
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研究概要 |
1.バングラデシュにおける調査:北西部ナワブガンジ県の2村落(合計約350世帯)を対象にし,平成10年11月,11年2-3月,7-8月にかけて,対象地域内の全ての井戸水の汚染(砒素汚染および細菌学的汚染)ならびに使用の実態と住民の生体計測,慢性砒素中毒による皮膚症状,砒素中毒についての知識・意識に関する調査を行なった.調査時に採取した井戸水および生体試料(尿・毛髪)については,その砒素・セレン濃度を水素化物発生-原子吸光法によって測定した.その結果,対象地域では約30%の井戸で,同国の飲料水の安全基準である0.05ppmを超える砒素が検出された他,狭い地域内において砒素濃度には100倍を超える開きが見いだされた.皮膚症状の有所見者は対象者の46%であり,男性に高値であった.使用する井戸水の砒素濃度,尿中の砒素濃度には高い相関があり,同じ井戸を使用する男女では尿中砒素濃度は同程度であった.尿中砒素濃度が同程度の場合,皮膚症状は男性で顕著に現れ,また,痩せている対象者において皮膚症状がより顕著な傾向を認めた.また,多くの井戸から病原微生物による汚染が検出された.以上より,当該地域において井戸水の砒素汚染は住民に健康に影響を与えており,低栄養状態により症状が増悪する可能性があること,曝露程度が同等であれば男性の感受性が高いことが示唆された. 2.東北タイにおける調査:ヤソトン県の5村落(合計約550世帯)を対象とし,平成11年2-3月,7-8月に,農薬の健康影響に着目した調査を行なった.食物摂取・再生産・農薬の使用状況についての聞き取り調査,生体計測,採尿,有機りん系農薬への曝露指標である血中コリンエステラーゼ活性の測定を実施した他,魚・用水池などの試料を採取した.その結果,農薬の使用は主としてスイカ栽培に伴うものであり,使用される農薬の種類は多岐にわたること.女性も農薬に曝露される機会が多いことが判明した.その健康影響ならびに農薬への曝露程度と健康影響との関連について現在も解析が進行中である.
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