研究課題/領域番号 |
10044246
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
野田 政樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50231725)
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研究分担者 |
山下 照仁 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (90302893)
二藤 彰 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00240747)
DENHARDT Dav ラトガース大学, 生物学研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
1999年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1998年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | オステオポンチン / ノックアウトマウス / 骨吸収 / 破骨細胞 / 骨形成 / 骨芽細胞 / 骨粗鬆症 / 骨髄除去 / 老化 / エストロゲン / 病態生理学 |
研究概要 |
オステオポンチンは、骨芽細胞が産生する非コラーゲン性の蛋白質の中で、最も多量に存在する蛋白である。本研究においては、このオステオポンチンの生体内での骨代謝における機能を明らかにする目的でオステオポンチン遺伝子のノックアウトマウスを共同研究により作成した。このオステオポンチンノックアウトマウスは、正常な成長速度を示し、また妊娠も可能であった。このマウスの骨髄細胞を培養することにより、破骨細胞の形成能を検討したところ、ビタミンDの存在下での破骨細胞の形成能がオステオポンチンノックアウトマウスでは、野生型に比べ高まっていることが明らかになった。さらに骨吸収との関連をより追及するために骨髄の除去手術をオステオポンチンのノックアウトマウスを用いて行った。この手術の後では、急激な骨の形成に続き、急激な骨の吸収が起こることが野生型では一週間ごとの経過でみられたのに対し、オステオポンチンのノックアウトマウスでは形成は正常にみられたが、吸収が著しく抑制されていることから生体内においてオステオポンチンが破骨細胞の骨吸収能の上で促進的な重要な意義を持つことが明らかになった。さらにヒトの骨粗鬆症の動物モデルである卵巣摘除動物を用いて、骨の吸収能の亢進状態を作成したところ、野生型においては破骨細胞数が顕著に増加し、骨の量が4週以内に急激に減少したのに対し、オステオポンチンのノックアウト動物ではこの急激な吸収が抑制されており、さらにまた破骨細胞数の著明な増加もみられず、骨粗鬆症の病態の成立に際しての明らかな破骨細胞形の機能に対するオステオポンチンの促進的な役割が解明された。さらにこのモデルでは、骨の形成に関わる骨芽細胞の機能を示す骨形成速度の上昇が野生型では卵巣摘除後に起こり、高回転型の骨粗鬆症の病態を示すのに対し、オステオポンチンのノックアウトマウスではこの骨形成のパラメーターの変化が全く起こらず、この結果、骨形成の面で骨吸収からの影響、と同時にオステオポンチンの欠損による骨形成の変化への抑制が存在することが推察された。さらにオステオポンチンの機能を解析する上で、この分子の遺伝子の発現制御に関わる転写因子の機能をCbfaを中心に解析するとともに、オステオポンチンが発現する対象である軟骨組織においてノックアウトマウスを用いた機能異常の存在を明らかにした。以上の研究の結果、オステオポンチンが欠損することは動物において正常な出生や成長には関わらないものの成体となったマウスにおいては、骨粗鬆症状態や骨髄損傷などの病的な状態に対し、応答性が明らかに障害されていることがオステオポンチンのノックアウトマウスの研究により明らかになった。すなわちオステオポンチンの機能は、骨粗鬆症の促進的な要因であり、骨の傷害に対する修復機転の上での調節に深く関わる分子であることが本研究で解明された。
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