研究課題/領域番号 |
10044250
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
半田 宏 東京工業大学, フロシティア創造共同研究センター, 教授 (80107432)
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研究分担者 |
和田 忠士 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (60262309)
BURATAUSKI S ハーバード大学, 医学部, 助教授
WINSTON Fred ハーバード大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | RNAポリメラーゼ / RNA / DSIF / DRB / Spt5 / Spt4 / NELF / P-TEFb / RNAポリメラーゼII / 転写 / 欠失変異体 / 酵母遺伝学 / 転写装置 / ドミナントネガティブ |
研究概要 |
RNAポリメラーゼIIによるRNA鎖伸長反応を制御する因子として同定されたDSIF(DRB sensitivity-inducing factor)は、転写阻害剤DRBやH-8の転写阻害に必須な転写因子である。DSIFは、DSIFp160とDSIFp14の2つのサブユニットから構成され、p160とp14はそれぞれ酵母Spt5とSpt4のヒト相同性因子である。DSIFは、RNAポリメラーゼIIに結合してRNA鎖伸長反応を制御する。我々の生化学的解析から、DSIFには、転写伸長反応を負に制御する場合と正に制御する活性が存在し、負の制御には、新規の転写伸長因子NELF(negative elongation factor)の関与が示された。さらに、DSIFとNELFによる転写抑制は、P-TEFb(positive elongation factor b)により解除され、その制御はRNAポリメラーゼIIの最大サブユニットのC末端ドメイン(CTD)のリン酸化と密接に関連していることが明らかとなった。さらに、高度に純化されたタンパク質による試験管内転写再構成系を用い、DSIF、NELFおよびP-TEFbによる転写伸長反応制御機構を検討した。その結果、クロマチン構造を有した鋳型DNAからの転写伸長反応に関与する因子FACT(facilitate chromatin transcription)が、P-TEFbと協調的に働いてDSIF/NELFによる転写阻害を解除することを見出した。一方、酵母遺伝学からDSIFはクロマチン構造と関連した機能発現を行うことが予測されていた。そこで、これを分子レベルで証明する目的でクロマチン構造の基本単位であるヌクレオソームを有した鋳型DNAをin vitro転写反応系で採用し、DSIFおよびFACTの作用機所解明を試みた。その結果、1)DSIFにはヌクレオソームによる転写伸長反応阻害を和らげる作用があること、2)実験条件によりFACTとDSIFは協調的に働いたり拮抗して転写伸長反応を制御することを明らかにした。最近のショウジョウバエ唾腺染色体の解析から遺伝子発現が活発なパフにはSpt5タンパク質の凝集が検出された。このことは、in vivoにおいてDSIF活性は特定遺伝子を高発現状態に保つために必要とされることを示唆している。よって、本研究によりDSIFがクロマチン構造と相関して機能する証拠が得られ、細胞内でのDSIFの役割が分子レベルで徐々に明らかとなってきた。
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