研究分担者 |
平松 正行 名城大学, 薬学部, 助手 (10189863)
山田 清文 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30303639)
JEANーMARC Ka 国立保健医学研究所, CNRS研究部長
ISABELLE Cha 国立保健医学研究所, 研究員
TANGUI Mauri 国立保健医学研究所, 研究員
ALAIN Privat 国立保健医学研究所, 国立化学高等学院, 研究部長
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2000年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1999年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1998年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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研究概要 |
我々は実験動物において1)従来の抗うつ薬や抗不安薬に抵抗性を示す恐怖条件付けストレス反応,2)ヒトにおいて精神分裂病様症状を引き起こす非競合的N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体拮抗薬のphencyclidine(PCP)による精神分裂病陰性症状様作用および潜在学習障害作用,3)薬物依存,4)一酸化窒素合成酵素阻害剤および非競合的NMDA受容体拮抗薬による学習・記憶障害,に対するシグマおよびNMDA受容体関連化合物の作用を調べ,以下の知見を得た. 1.シグマ1受容体に親和性を有する神経ステロイドのdehydroepiandrosterone sulfate(DHEAS)およびpregnenolone sulfateは,シグマ1受容体を刺激することによってマウスにおける恐怖条件付けストレス反応を緩解し,逆に神経ステロイドの中でもprogesteroneは,シグマ1受容体拮抗作用を有していることを見出した.恐怖条件付けストレス反応の発現には,脳内DHEAS含量の低下および神経細胞のアポトーシスが関与していることを見出した.またDHEASは,恐怖条件付けストレスによる神経細胞のアポトーシスに対して保護作用を有していることが示唆された. 2.PCP連続投与によって惹起される精神分裂病陰性症状様作用の発現には,前頭前皮質のドパミン作動性神経-セロトニン作動性神経-グルタミン酸作動性神経系の機能障害が関与していることを見出した.さらに,PCP連続投与マウスにおいてマウス間の社会性障害およびPCP急性投与マウスにおいて潜在学習障害が認められ,これらの障害の発現にもグルタミン酸作動性神経系の機能障害が関与していることを見出した. 3.PCPの弁別刺激効果は,シグマ受容体でなくNMDA受容体を介して発現していることを見出した.また,モルヒネの依存形成に対するDHEASの抑制作用はシグマ1受容体を介するERKカスケードが関与している可能性が示唆された. 4.一酸化窒素合成酵素阻害剤や非競合的NMDA受容体拮抗薬のdizocilpineによるマウスやラットの空間記憶障害は,シグマ1受容体を刺激することによって改善されることを見出した.また,シグマ1受容体は,空間記憶に関与していることが示唆された.
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