研究課題/領域番号 |
10044267
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 利男 三重大学, 医学部, 教授 (00135443)
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研究分担者 |
西村 有平 三重大学, 医学部, 助手 (30303720)
中 充子 三重大学, 医学部, 助手 (10093139)
BERCHTOLD M. コペンハーゲン大学, 理学部, 教授
HEIZMANN C.W チューリッヒ大学, 医学部, 教授
林 正晃 三重大学, 医学部, 助手 (80291417)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1999年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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キーワード | S100ファミリー / S100C / 病態 / 遺伝子発現 / カルシウム / アクチン結合タンパク質 / カルシウム結合蛋白質 / 種々の病態 |
研究概要 |
最近、我々は新しいカルシウム結合タンパク質S100Cを精製し、その遺伝子をクローニングした。、S100CはS100タンパク質ファミリーのメンバーで、幾つかのユニークな性質を持っていることが判明した。S100タンパク質はその組織含量が幾つかのヒト疾患に伴って変動することや、異なる癌タイプの予知マーカーとして使用していることから注目されている。S100C遺伝子は、癌組織において最も多く発現している遺伝子の位置であるヒト染色体の1q21に位置していることから推測される様に、大腸がんに多く発現していることがみいだされた。そこで、本実験では種々のヒト組織におけるS100Cの発現差異と共焦点レーザー走査顕微鏡による細胞内分布を明らかにし、S100Cの細胞情報伝達系における役割を検討した。さらに、S100Cはカルシウム依存性にアネキシンIに結合し、細胞骨格の調節に関与していることを我々は報告しているが、さらに、カルシウム依存性にアクチンに結合することも見い出した。本研究の結果をまとめると(1)ヒトS100Cは成人の胎盤に最も多く、成人心臓、成人と胎児の肺と腎臓、成人膵臓に中程度に存在したが、骨格筋や肝臓には少なく、成人と胎児ともに脳には認められなかった。しかし、S100Cは大脳の悪性腫瘍であるグリオブラストーマ細胞には存在し、しかも、腫瘍細胞の状態により細胞分布が核から細胞質に変化するなど他のS100ファミリーとは異なる性質があることが明らかになった。現在、腫瘍の悪性化や転移との関係などさらに検討中である。(2)新しい標的タンパク質を見出し、同定した。S100Cは平滑筋に多いことはすでに報告しているが、S100Cはアクチンに結合し、ミオシンとの相互作用を阻害することを見い出した。更に、多くのアクチン結合タンパク質中でS100Cは新しいアクチン結合部位を持つことも明らかになった。これらのことから、生体内での新しい機能を担っている可能性も考えられるので、更に生理機能について検討中である。
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