研究分担者 |
三室 淳 自治医科大学, 医学部, 講師 (10221607)
諏合 輝子 自治医科大学, 医学部, 講師 (60183844)
坂田 洋一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40129028)
MOSESSON Michael W ウィスコンシン大学, 医学部, 教授
WEISEL Jhon W. ペンシルバニア大学, 医学部, 教授
MOSESSON Mic ウィスコンシン大学, 医学部, 教授
WEISEL John ペンシルバニア大学, 医学部, 教授
|
研究概要 |
Fibrin(Fbn)の重合障害を主徴とするfibrinogen(Fbg)の遺伝性異常分子,Fbg Niigataの分子及び遺伝子の構造解析から,新しい変異,BβAsn160→Ser置換を同定した.このため,Bβ158-160残基断片にAsn-X-Ser型の糖付加構造が新たに形成され,実際BβAsn158に二双アンテナ構造を持つ余剰糖鎖が同定された.本異常分子では2本鎖protofibrilの形成までは正常であるが,これに続くprotofibrilの側々結合が異常でFbnゲルの形成が遅延し,余剰糖鎖がこれを惹起していると考えられた.実際,余剰糖鎖を酵素処理して除去するとFbn重合障害は軽減し,電顕学的観察でも,湾曲したFbn線維から成るFbnゲルは正常の直線状Fbn線維を主体とするゲルに変化していた.この成績を国際誌Bloodに投稿中である.一方,帝王切開術時に大量出血し,術後早期に深部静脈血栓症と肺塞栓症を併発した患者由来のFbn Marburgでは,電顕学的分析から,細く且つ分岐に富み,網目の細かなFbn構築像が得られた.肉眼的にはきわめて脆弱に見えるこのFbn塊はこれまでの生化学的分析から,Xllla因子による分子間架橋が不規則且つ多彩であり,また線溶酵素プラスミンによる分解を全く受けないことが判っており,これらの成績を総合して次の様に結論した.すなわち,Aα鎖の150残基欠損と異常Aα鎖への血清アルブミンの結合からFbn protofibri間での側々結合が進まないことは出血性素因と招来している.一方,第Xllla因子により異常な架橋結合がサブユニット間および結合アルブミンとγ鎖間に導入されているため,Fbnの構築がきわめて異常であり,プラスミンによる分解を受けないことから,一旦Fbn血栓が形成されるとこれが長期存在すると共に血液成分の流通を妨げ,血液の遅滞を招き,血栓性疾患に結びつくというものである.この成績の一部は国際誌Bloodに掲載され(91:3282-3288,1998),他の成績は投稿準備中である.
|