研究課題/領域番号 |
10044322
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高須 俊明 日本大学, 医学部, 教授 (90010024)
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研究分担者 |
国分 裕司 日本大学, 医学部, 助手 (40215223)
亀井 聡 日本大学, 医学部, 講師 (40142509)
駒瀬 勝啓 北里研究所, 基礎研究所, 主任研究官 (80215384)
吉川 泰弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80109975)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1998年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 亜急性硬化性全脳炎 / パプアニューギニア / 疫学 / 麻疹 / ワクチン / ウイルス / 進化 / ゲノム |
研究概要 |
1997年から1998年にかけての1年7ヶ月間に、パプアニューギニア国ゴロカ地域の中心病院で、34例をSSPEと診断した。15歳未満人口百万当たりの年間SSPE発生頻度が、日本0.57、パキスタン国力ラチ14に対して、パプアニューギニア(PNG)全国27、高地州4と沿海州2で78、東部高地州ゴロカ地域で123と推定し、カレン・ルーカスらが報告した1988年から1992年にかけてPNG,特に高地州において見られたSSPEの著しい多発が、1997年、1998年の今も続いていることを確認した。 著しい多発が続いている東部高地州ゴロカ地域のSSPEは、(1)麻疹予防接種歴有りが約8割を占める、(2)2歳未満麻疹罹患者が約7割、1歳未満麻疹罹患者が約5割を占める、(3)潜伏期間中央値が5年と短い、(4)発病年齢中央値が6-7年と低く、5歳に一つの峰を作るという4点において、他の地域、または他の多発地域であるパキスタン国カラチに見ない特異な様相を呈している事を知った。 PNGにおける麻疹ウイルスが既に報告されている他地域、他年代の麻疹ウイルスと比較して、どのような分子進化上の位置に位置づけられるか、SSPEの高い発生頻度を、起因ウイルスの性質から説明できるか否かを検討するため、SSPE患者、麻疹患者の髄液と末梢血リンパ球から、RT-PCR法によって麻疹ウイルスゲノムN遺伝子上の2領域(Na,Nbと命名)を増幅し、解析した。1名のSSPE患者に由来するNa領域配列がこれまで報告されていない新規の野生型である事、3名の麻疹患者に由来するNb領域配列すべて同一の新規の野生型であることを見出した。分子進化論的系統樹上の位置からみて、両野生型配列は、近種である可能性が高く、PNG固有の配列と思われる。SSPE患者から、ワクチン様配列が検出され、その一部は、実験手技の施行中に起こったコンタミと考えられたが、コンタミと断定しきれない、ワクチン株に完全に一致した配列が見つかった。ワクチン様株が、SSPEの多発に関係しているか否かは不明である。
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