配分額 *注記 |
117,000千円 (直接経費: 117,000千円)
2000年度: 30,000千円 (直接経費: 30,000千円)
1999年度: 39,000千円 (直接経費: 39,000千円)
1998年度: 48,000千円 (直接経費: 48,000千円)
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研究概要 |
サケの産卵回遊は生殖に関わる本能行動であり,その発現は視床下部-下垂体を中心とする神経内分泌系により制御されている.その分子機構の解明を目指す本研究は,「視床下部ニューロンが産生する神経ホルモンは,下垂体-生殖腺系を中心とする内分泌系を介して生殖腺の成熟を促進させるとともに,中枢ニューロンに作用し行動発現のための動機づけに関わる」という仮説を,分子レベルで検証することを眼目として進められてきた.今年度に得られた以下の成果は,視床下部ニューロンが,神経ホルモンを情報分子として,産卵回遊に関わる神経系と内分泌系の機能を同調させていることを明確にするものである. 産卵回遊にともなうホルモン遺伝子の発現変動とその生理学的意義(浦野):大槌川および石狩川のサケを対象として,海から川に入り遡上しようとする時の遺伝子発現の変動を解析するための試料を採取し解析した.またモデル系としてサクラマスを選びGnRH感受性の年周変動を解析した.なお,同一個体から得た試料について,なるべく多くのホルモンと転写因子のmRNAを定量するためにリアルタイムPCR法を導入した.得られたデータは,北洋のシロザケの脳が7月初めの産卵回遊開始時にGnRH感受性を持ち始めることを示唆するものであった. 標的細胞におけるGnRHの作用機序と可溶性グアニル酸シクラーゼ(安東):標的細胞におけるGnRHの作用機序は,中枢と下垂体でそれほど異なるものではないと考えられるので,下垂体の生殖腺刺激ホルモン遺伝子の転写調節機構をモデル系として,転写調節因子SF-1とPit-1の動態を解析した.また可溶性グアニル酸シクラーゼの脳内における発現を明らかにした. 神経ホルモンによる中枢ニューロンの活動制御の光学的解析(伊藤):インビトロ脳標本からイメージングによってニューロンの活動を記録し,脳の動機づけレベルを決めていると思われる同定ペプチド産生ニューロンに特徴的な細胞内Ca^<2+>の変動パターンを見出した. DNAチップを用いてシロザケ系群を判別することが可能になったことを付記しておく.
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