配分額 *注記 |
144,500千円 (直接経費: 137,000千円、間接経費: 7,500千円)
2002年度: 15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
2001年度: 16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2000年度: 24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
1999年度: 23,000千円 (直接経費: 23,000千円)
1998年度: 65,000千円 (直接経費: 65,000千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,構造的柔らかさを特徴とする有機導体の,分子配向の自由度に象徴される極低温構造変化と電子状態の相互関係を「一軸性圧縮」などの外部制御のもとに解明し,その知見に立って,豊富な多様性をもつ有機導体の物性制御と設計にとりくむことである。 研究において,まず電気伝導測定と極低温X線回折測定のための一軸性圧縮実験技術の開発に成功した。その技術を用い,擬2次元導体α-(BEDT-TTF)_2XHg(SCN)_4のX=Kの塩とX=NH_4の塩を対象として,一軸性圧縮下での抵抗測定,磁気抵抗測定およびX線構造解析を行った。超伝導との関係で言えば,α-(BEDT-TTF)_2NH_4Hg(SCN)_4では,試料をc軸方向に圧縮すると超伝導臨界温度が常圧の1.5Kから6Kに上昇することを発見した。X線構造解析によって得た電子構造は,BCS理論に基づく臨界温度の予測と半定量的に合致することが明らかになった。この研究は,一軸性圧縮によって電子物性の制御が可能であることを実証した最初のケースである。また静水圧下における新たな磁気抵抗効果を発見し,これを「小閉軌道効果」と名づけた。 β型,θ型のBEDT-TTF系およびBO系導体など,関連物質に対する一軸性ひずみ効果の測定もおこなった。基本的には期待通りの変化がおこっていることを確かめたが,今後の課題となる新規な効果も発見した。 本研究では,アクセプターにも有機分子を用いることによる物質設計を行い,独創的な有機超伝導体(BETS)_2(Cl_2TCNQ)の合成に成功した。これは有機分子だけで構成される,世界ではじめての超伝導体である。 本研究で開発に成功した一軸性圧縮技術は,今後,伝導電子のバンド幅だけでなく電子間のクーロン斥力効果などの制御や,磁気測定,光学測定などにも発展することが期待される。
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