研究課題/領域番号 |
10102005
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
化学系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中辻 博 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026211)
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研究分担者 |
江原 正博 京都大学, 工学研究科, 助手 (80260149)
波田 雅彦 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20228480)
胡 振明 京都大学, 工学研究科, 助手 (40283634)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
165,400千円 (直接経費: 163,000千円、間接経費: 2,400千円)
2001年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2000年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1999年度: 37,000千円 (直接経費: 37,000千円)
1998年度: 104,000千円 (直接経費: 104,000千円)
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キーワード | シュレディンガー方程式の一般的解法 / 励起分子の理論 / 光合成反応 / 生物量子化学 / 相対論的量子化学 / 磁気量子化学 / 表面反応 / 密度行列の直接決定法 / シュレディンガー方程式の厳密解 / 励起分子 / 密度行列の変分的解法 / 解析的エネルギー微分法 / 電子移動過程 / 電子密度方程式 / 巨大分子系 / 多電子系の厳密解 / 密度方程式 / 相対理論的量子化学 |
研究概要 |
(1)シュレディンガー方程式の一般的解法:シュレディンガー方程式の解である正確な波動関数の構造について研究し、この方程式を解くのに必要な変数の数は、現在知られているものに比べて、格段に少なくて良いことを理論的に示した。ICI(Iterative CI)法およびECC(Extended Coupled Cluster)法を提案し、変数の数は1-2電子励起の数で良いことを示した。これらを、基底状態および励起状態に対して定式化し、簡単な系に応用することにより、方法の有用性を示した。 (2)励起分子系の理論:SAC/SAC-CI法の解析的微分法を開発し、様々な電子状態に応用できる汎用性の高いエネルギー勾配法を完成した。また、多電子過程を精密に記述するSAC-CI general-R法の解析的微分法を開発し、様々な性質の電子状態に応用した。SAC-CI general-R法を用いたイオン化スペクトルの相関ピークの研究や数多くの芳香族化合物の励起状態およびイオン化状態について精密な研究を展開した。局在化軌道を用いた電子相関法で問題となるポテンシャル曲線の不連続的な振舞いを解消するための方法(MOD法)を開発した。 (3)光合成反応の解明、生物量子化学:光合成細菌の反応中心における光吸収過程についてSAC-CI法を用いて研究し、スペシャルペアーを含む反応中心全体の電子スペクトルの帰属に成功した。光合成反応中心における高効率かつ経路選択的な電子移動のメカニズムを研究し、電子的因子がその要因であることを明らかにした。光合成反応中心における電子移動の経路を研究するための摂動論的方法論を開発し、移動する電子が経由するアミノ酸残基が何であるかを明らかにし、ミューテーションが移動速度を変化させる可能性を理論的に示した。 (4)相対論的量子化学:2成分擬相対論の範囲で量子化学的方法論の体系化を完成した。スピン伝達機構と化学シフトの関係を詳細に研究し、スピン-軌道相互作用によって発生したスピン密度が、スピン分極機構によって周辺の原子に広がるありさまを示した。ゲージ原点依存性を解消するためにGIAOを導入した。さらに有限核サイズモデルを導入した。4成分相対論によるNMR理論を構築し、擬相対論との比較研究を行なった。擬相対論とGUIIF法に基づいて、MCDを計算する理論を構築し、MCDにおける相対論効果の重要性を示した。 (5)表面反応の理論:DAM法を用いて、銀表面上におけるプロピレンやアセチレンの酸化反応の電子的メカニズムを明らかにした。銅(100)表面上における炭酸ガスの接触水素化によるメタノール合成反応のメカニズムおよびZnによる助触媒効果を理論的に解明した。MgO(100)表面上における蟻酸の分解反応を研究し、格子欠陥のある表面上では反応が簡単に進行することを示した。 (6)密度行列の直接決定法:時間依存の密度方程式および密度方程式の摂動理論の定式化を行なった。スピンをあらわに含む密度方程式の定式化とプログラム開発を行ない、開殻系電子状態や励起状態に応用した。二次の密度行列を変数として、N表現性の必要条件を拘束条件として変分的に決定する方法を開発した。この方法を分子のポテンシャル曲線や非常に電子相関の強い系に応用することに成功した。
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