研究課題/領域番号 |
10102007
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
化学系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 正 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40029442)
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研究分担者 |
長澤 裕 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (50294161)
中島 聡 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (80263234)
平田 善則 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (90135674)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
161,000千円 (直接経費: 158,000千円、間接経費: 3,000千円)
2001年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2000年度: 14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1999年度: 46,000千円 (直接経費: 46,000千円)
1998年度: 88,000千円 (直接経費: 88,000千円)
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キーワード | フェムト秒分光 / 非線形分光 / 溶媒和ダイナミクス / 無輻射過程 / 反応と振動の相関 / 多次元解析 / 2次元解析 / ブルー銅蛋白質 / 分子間相互作用 / フェムト秒非線形分光 / フォトンエコー / プラストシアニン / フェムト秒光カー効果 / 振動のコヒーレンス / 時間分解ホールバーン / Cr:Forsteriteレーザー |
研究概要 |
当初計画した研究課題を以下に掲げ、それぞれの課題についての研究成果の概要を述べる。 1. 溶媒和エネルギー分散ダイナミクスの解明、2. 光解離と溶媒ケージ内緩和過程の解明、3. 2次元高次非線形分光法の開拓、4. 上記の研究に必要な新型超高速レーザーシステムおよび測定系の開発 4.に関しては、当初計画したキャビティーダンパー付きチタンサファイアレーザーとクロミウムフォルステライトレーザーシステムを設計・製作し、それぞれのパルス幅12fs、26fsは我々の知る限りでは世界最短である。主な測定システムは、pump-probe法による時間分解差スペクトル測定系、3パルスフォトンエコー測定系、カーゲート法を利用した時間分解発光スペクトル測定系、光カー効果測定系、和周波発生測定系などであり順調に稼働している。 1.は3パルスフォトンエコーのピークシフト(3PEPS)測定法により一連の色素の溶媒和ダイナミクスを調べた。実験結果は既存の理論モデルでは解析できず、分子内振動の影響、観測波長幅の効果、非線形な溶媒和過程などの可能性を考察した。更に、より高精度で情報量が豊富な2次元フォトンエコー測定を計画しその測定に成功した。RISM理論に基づく理論的研究は多原子溶質-多原子溶媒系が扱えるよう手法を拡張し、溶質の電荷分布やサイズに依存したエネルギー緩和のダイナミクスを計算し、非線形な溶媒の応答が顕著に見られることを明らかにした。 2.では光解離とジェミネート再結合に関するMDシミュレーションによる研究、溶媒ケージ内分子の緩和ダイナミクスに関するTPM系色素の超高速無輻射失活過程の研究と高励起状態からの内部転換の研究、ポルフィリンの第2励起状態からの超高速電子移動の研究などである。 3.では電子輸送蛋白質の電子移動反応と結合したコヒーレント低振動モードを見出すことに初めて成功した。これによりpump-probe法によっても反応と相関した振動の研究が可能であることを示した。また、既に述べた3パルスフォトンエコーによる2次元化に成功し、電子系と分子内振動や媒体のダイナミクスとの相関が観測できることを示した。当初の計画で目指した反応における振動との相関を直接観測する手法が広がり、観測の対象が広がった。 これらの研究成果により当初の研究目的は達成できたと考える。
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