1985年の《教育体制改革に関する決定》で示された複線型学校体系は、1990年代に入り一層強化され、「三級分流」という形でより網の目を細かくしている。それによって、一つには大学への進学が困難な高級中学普通課程の卒業生について、職業技術教育を施すことによって卒業後の即時就業、そして現場ですぐに役立つ労働技術の習得をできるだけ可能ならしめようとしている。また、「三級分流」をより効率的に行うためにも、《教育体制改革に関する決定》で大方向が示されていた、中等教育段階における職業課程の比重の増大がさらに進められ、都市部と農村部とでは相異があるものの、在校生比率は1990年代後半には50%強に達し、2000年には全体の60〜70%以上になろうとしている。そして、「三級分流」のうち、初級中学後の分流を目標とするとしながら、経済の発達程度によって、後進的農村では小学卒業後の分流を進めようとしている。もちろん、「分流」後も上級学校に進学するわけであるが、職業課程の学校に進学した場合には、それは行き止まりであり、さらなる上級学校への進学は基本的に望み得ない。このシステムに対して批判的意見は存在するものの、本質的なシステム改善にはつながってはいない。 また、在日中国人留学生へのインタヴューからは、それぞれの段階での進路指導は、これまで行われておらず、クラス担当教員から進学先などを指示されていたことがわかった。このありかたは、1970年代から90年代はじめにかけて、各地域で広くみられる現象である。インタヴューの対象が現役の初級中学生あるいは高級中学生ではないため、1990年代後半という現在の状況がそのまま反映しているとは言い難く、より広範囲において、多数の事例を集めなければ即断しかねるが、上述のような基本的状況は把握できたと思われる。
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