研究概要 |
文献研究と現地調査の結果の解析を通じて次ような研究発見ができた 1. 民国時代まで都市においては国家と社会とは完全に分離していた状態だった.筆者は地域性,共同性,自律性の三つの特性から地域社会の在り方を考察して,中国の都市社会には歴史上において地域社会が存在していなかったと言っても過言ではない。言い替えれば,民国時代まで都市においては国家と社会とは完全に分離していた状態だった. 2. 社会主義体制における形成された「単位」社会は国家と社会のとの合体である.1949年から1970年代末までにおいて、国家の力が社会の底層まで届くシステムがはじめて構築された。都市住民は地域によってではなく,所属する職場によって他の集団と区別する共同性が生まれたも言える.しかしながら,地域性と自律性は全く欠落して.あくまでも国家の管理体制のもとで個々のユニットをなしているにすぎない.こうしたユニットを地域社会とみなすことはできない.それはむしろ中国語の「単位」という言葉を借りて「単位」社会と呼んだ方がより適切であろう。 3. 「単位」社会の崩壊によって、「社区」建設は新たなに地域生活の安定維持の方策として試み段階中にある.「社区」とはもともとcommunityの中国語訳で、地域社会を意味する専門用語として用いられてきた.「社区」活動においては行政と住民の二元構造が存在している. 4. 「社区」におけるソーシャル・サポートシステムを探り出した。このシステムは居民委員会の活動と自発的な住民活動めぐる社区資源の動員を通じて機能するものと考えられる。ここでいう社区資源には物的資源以外に人的資源も含まれている。居民委員会は商業活動を行い,その利益によって弱者救済などのソーシャル・サポートを達成する。一方,自発的な住民活動はレジャー活動と相互援助活動を通じてソーシャル・サポートを達成する。
|