研究課題/領域番号 |
10113201
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
腰原 久雄 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (60017803)
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研究分担者 |
椎名 洋 信州大学, 経済学部, 助教授 (80242709)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 専業率 / ソフト化の指標 / 産業分類 / 生産統計 |
研究概要 |
現行の産業分類の妥当性について事業所の専業率と産業間移動の観点からの分析と生産工程におけるソフト化の指標の開発を主要な研究内容とする。 事業所における製品の特化度、うらはらに事業所内活動の多角化の状況を示す指標として専業率の概念を導入し、その変化と事業所の専業率の変化及び産業間の移動状況を分析している。専業率を当該産業に対応する品目の製造品出荷額の製品出荷額合計に占める割合と定義し、1993年度の化学工業、一般機械製造業、電気機械製造業について分析した結果は、(1)事業所の規模が大きくなると専業率は下がる傾向にある。(2)産業によって専業率の水準がかなり異なる。(3)製造品を主軸とする現行産業分類は、必らずしも同一分類に属する事業所の技術の問題をも保証するものではなく、現行産業分類を細分化してもアクティビティを表現することにはならない。また、全産業および1985年、1990年に拡張した分析においても、小規模事業所ほど製品の特化が、大規模事業所ほど事業所内の製品多角化が進んでいるとの傾向が明らかとなった。1985年と1990年の間の専業率の変化は専業率を上げた事業所が多い結果となっている。事業所内多角化よりも製品特化が進展していることが明らかとなっている。このことは規模の大小を問わずにみれるが、とりわけ小規模層で著しい。産業間移動の状況は産業毎に区々である。規模別にみると、従業者30人以上では産業間移動がない事業所が90%を越えるのに対し、29人以下の層では44%の事業所がその属する産業を変化させており、廃業を加えると5年間で50%以上の事業所で業態の変化を観察している。 ソフト化の有無によってミクロ・データを2分化するための指標の検討はパネルデータにもとづいて行われた。生産工程のソフト化の有無を判別するための指標として、労働装備率、労働生産性、付加価値率、外部委託率の急激な変化を検討した。現時点で絶対的な判別の指標を見出すには到っていないが、生産設備のレンタル化、リース化の進展をうかがわせる分析結果を得ている。一つは設備の生産性伸び率であり、もう一つは設備残高増減と原材料の増減の関係である。生産設備のリース・レンタルや外部委託は設備残高と付加価値の関係に反映する。データによれば、設備残高と付加価値の関係が大きく外れている事業所が存在していた。個々のソフト化の程度を判別するのに、設備の生産性の伸び率が利用可能であるとの示唆を得ている。また、委託加工を前提とすると、受託者に提供する原材料使用額は委託側で計上されるのに、その生産に要する設備については受託側に計上されるので、有形固定資産と原材料使用額の増減にねじれ現象が生じている事業所が存在している。設備残高と原材料の増減についての関係がソフト化の程度を判別する指標として利用できる可能性を見出している。
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