研究課題/領域番号 |
10114214
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小椋 たみ子 神戸大学, 発達科学部, 教授 (60031720)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 語彙 / 文法 / 名詞優位 / CDI / 言語モジュライティ仮説 / 自然分割仮説 |
研究概要 |
1. 言語下位領域内の語彙と文法の関係について、健常児については小椋・綿巻(1998)のMacArthur CommunicativeDevelopment Inventories日本語版(以下、CDIと略す)の標準化データから、障害児群(ダウン症児、自閉症児、ダウン症・自閉症以外の発達遅滞児)は神戸市の就学前の通園施設、母子教室に通う親にCDIと津守式乳幼児精神発達質問紙への記入を依頼した。結果は、健常児では、語彙サイズ100を越えると80%の子どもで語結合が出現し、200語を越えると、格助詞、終助詞、接続助詞、係助詞が急激に増加した。障害児では、16-30ヶ月の精神年齢の子ども96名を分析した結果、ダウン症、自閉症児は同じ発達年齢の発達遅滞児より、文法、語彙発達ともに遅れていた。文法が出現していた27名では、100語以上で語結合の出現率が上昇、200語以上の語彙サイズの子どもでは、助詞結合出現率が大きく上昇した。健常児、障害児とも語彙サイズと文法出現で強い関係があることが示唆され、Fodor(1983)の言語モシュラリティ仮説の、語彙と文法の間の垂直的断絶は支持されなかった。 2. 8ヶ月から1ヶ月毎の郵送によるCDIsと母親の記録から、語結合が出現した6名の健常児縦断データを分析した結果、語彙サイズ100語を越えた時期に格助詞が出現し、この文法の出現がさらに語彙の増加を導いていた。 3. 健常児の語彙獲得で「名詞優位か動詞優位か」の問題を縦断、横断データから明らかにした。人をあらわす語を名詞とするか、ものをあらわす幼児語を名詞とカウントするか否かで結果は異なるが、人をあらわす語を名詞とカウントした時は、成人語だけの場合も幼児語を含めた場合も、横断、縦断ともに名詞優位の結果であった。縦断2名についての母親の発話は動詞優位であった。母親の言語入力が動詞優位であるにもかかわらず、初期の語は知覚的に捉えることが可能な名詞を学習しやすいといえる。Gentner(1982)の自然分割仮説が支持された。
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