研究課題/領域番号 |
10114215
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
竹下 秀子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (90179630)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | チンパンジー / 対象操作 / 道具使用 / 模倣 / 分類 / 個体発達 |
研究概要 |
チンパンジー乳幼児メス2頭およびオス1頭(1995年7月〜1995年9月生まれ)を対象とし、1〜2か月の間隔で、1)対象操作、2)道具使用について、ヒトのモデル行動を提示した場面の行動を観察した。ヒト1歳児にみられる対象操作や道具使用、さらには模倣にかかわる行動特徴が、3歳前後以降のチンパンジーの個体発達過程でどのように出現するかを明らかにすることを目的とした。その結果、1)対象操作:大積木を数個積み重ねる、ボウルを数枚重ねる、ボウルに入れ子のカップを集め入れるなどの定位的操作は、対象児が2歳後半になると頻繁に観察されるようになった。個体差はあるが、メス3歳1か月児の、自発的な積木積みに関してその継起性と調整、積み直しや倒壊への予測的行為をとりあげると、ヒト1歳後半児の特徴を示すものである。この対象児は、赤積木と白積木の分類的操作も示した。 ただし、ヒト1歳半ば以降にみられる、入れわけ操作は、どの個体にもまだ観察されていない。チンパンジーは、ヒトに比較して、2方向への注意の配分をおこないにくいといえる。 2)道具使用:水すくい(器で水をすくいあげる、器に水を付着させてそれをなめる)および踏み台使用(バナナの下に箱を移動させてバナナに向かってジャンプする)において、一つの物体を使用する道具使用はいずれの個体においても3歳1か月までに獲得された。しかし、すくった水を他の器に入れるという操作はこの時点で出現せず、2個の踏み台を重ねて踏み台とするという行動も定着するにいたっていない。3)模倣:現在までの経過は、対象児が他者のモデル行動に大きな関心を寄せて注視することを示している。しかし、その後にその行動がモデル行動に引き続いて明確に再生されることはなかった。
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