研究概要 |
平成10年夏に生まれた2頭のアカゲザルのコザル(サクラとユウスケ、ともにオス)に、8野起源の行動抑制課題である対称性強化の視覚性ゴー・ノーゴー課題をまず学習させ、前頭連合野の8野に、GABA阻害剤であるビククリン(1ul,1-15ug)の微量を局所注入して、ゴー・ノーゴー課題(遅延0秒)に対する効果を調べた。サルはまだ実験継続中なので、組織学的所見が得られてない。生後94-143日のコザルに、コントロールとして、33回の課題(100試行/回)を遂行させたが、正答率93.8%(ゴー課題、98.6%でノーゴー課題89.9%)で、1018秒の時間が掛かった。8野への5回のビククリン注入で、正答率は77.0%に下がった(p<0.0004)(ゴー課題、94.2%,p<0.03)でノーゴー課題、62.6%(p<0.0004)。大人のアカゲザルでの結果と似た結果が得られ、大人ザルの結果を確認した。成績の低下には、ゴー刺激に反応しないこと(オミッションエラー0とノーゴー刺激に反応すること(コミッションエラー)がみられたが、GABA抑制の阻害似よると考えられる。遂行時間は、2235秒に延長した(p<0.0009)。課題遂行時間の延長は単なる課題抑制によって課題遂行の時間が伸びたのではなく、サルがケイジ内を歩き周り、宙返り運動や何かを探す行動を繰り返した。これらは、GABA抑制からの解放現象と考えられる。過運動、過行動は、前頭連合野の破壊で見られる現象なので、これらが、GABA抑制の障害によって起こると考えられる。
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