研究課題/領域番号 |
10114227
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
加我 牧子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所精神薄弱部, 部長 (20142250)
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研究分担者 |
宇野 彰 国立精神, 神経センター・精神保健研究所精神薄弱部治療研究室, 室長 (10270688)
稲垣 真澄 国立精神, 神経センター・精神保健研究所精神薄弱部診断研究室, 室長 (70203198)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 特異的発達障害 / 学習障害 / 漢字書字障害 / 神経生理学 / 事象関連電位 / P300 |
研究概要 |
特異的漢字書字障害症例の神経生理学的所見につき事象関連電位を中心に報告した. 症例は14歳と12歳の右利き男児で、漢字書字障害の他に症例1では視覚認知障害を合併していた.WISC-Rは症例1はVIQ101,PIQ84,症例2は114、100と全般的知能正常.MR1に局在性異常なくSPECTで共通の血流低下部は成人の漢字書字障害同様、側頭葉後下部であり、症例1は症例2より病変が広く後頭葉も含んでいた. 視覚性事象関連電位(ERP)課題は1)既知漢字、2)鶇、鶫という未知漢字、3)無意味複雑平面図形の3種類のぺアを作成し、前者を低頻度標的刺激、後者を高頻度非標的刺激とし、標的刺激にボタン押しを指示した.対照は健常児ならびに若年成人14名とした。 その結果、対照のP300潜時は既知漢字≒未知漢字《無意味複雑平面図形で前2者間に有意差なく前2者と無意味平面図形の間に有意差があった.対象例はともにP300潜時が遅延していたが症例1は既知漢宇=未知漢字=無意味複雑平面図形、症例2は既知漢字〈未知漢字《無意味複雑平面図形であった。反応時間も延長していたが反応は正確であった.P300潜時の結果、対照では難易を問わず漢字は同様に処理されるのに、無意味複雑平面図形は純粋な図形として処理されている.対象例では潜時は延長し、2例の延長仕方が異なっていた.すなわち症例1は漢字も図形も同じように図形として処理しているものとみられ、症例2では課題の複雑さに従ってP300潜時が延長していた。 この2症例は漢字を読めたが書けず、漢字書字障害所見は同一であったが、背景となる神経生理学的な結果は異なっていた.つまり神経学的異常メカニズムは異なっており、訓練も別々の方法を考えるべきであることが推定された。 このように発達障害児の認知機構の神経生理学的方法により神経学的基盤を明らかにすることによって治療に結びつく所見が得られることが明かとなった.
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