研究課題/領域番号 |
10115216
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
高宮 広土 札幌大学, 文化学部, 講師 (40258752)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 沖縄先史時代 / フローテーション / 植物遺体 / 適応 / 農耕の始まり |
研究概要 |
今年度は、熊本大学考古学研究室の発掘調査に参加し、沖縄弥生〜平安並行期の遺跡であるナガラバル東貝塚(6〜8世紀)から植物遺体を検出するために土壌サンプルを採取した。コラムから24リットル、第三層から48リットルの計72リットルの土壌をフローテーション処理した。その結果、42.34グラムの浮游物が回収された。目的とする植物遺体は計49片(内2片のみ完形)検出されたが、そのうち2片は不明種子、24片は同定不可能な炭化種子破片であった。しかしながら、沖縄貝塚時代後期および沖縄先史時代を理解するうえで大変貴重な植物遺体を検出することができた。すなわち、全て破片であるが、イネの穎果4片およびイネ籾17片を回収した。これらの植物遺体は、琉球列島最古のイネとなる。昨年度まで知られていた最古のイネが那崎原遺跡出土のもので、年代が8〜10世紀であるので、今回の調査結果は沖縄におけるイネの存在が、さらに数世紀古くなったことを示すものである。しかしながら、那崎原遺跡とは異なり、ナガラバル東貝塚の人たちが農耕を営んでいたという積極的な証拠を得ることは出来なかった。おそらく、彼らは交易によってイネを入手したものと考えられる。 また、昨年度からの継続研究として、前原遺跡(縄文後期)、用見崎遺跡(弥生〜平安並行期)、および北谷グスクから回収された植物遺体を分類・同定している。まだ、同定が充分に実施されていないが、沖縄先史時代における植物職利用および農耕の開始期がようやく見えてきたような気がする。
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