研究課題/領域番号 |
10115219
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
松村 博文 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (70209617)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 渡来人 / 古墳時代 / 続縄文時代 / 歯冠計測値 / 判別分析 |
研究概要 |
北海道の続縄文時代人と九州ならびに本州の古墳時代人に大陸からの渡来者の遺伝的影響がどの程度まで及んでいたかを、縄文人および渡来系弥生人の歯冠計測値を用いた判別関数を個体ごとに適用することによって検証した。 続縄文時代人については、オンコロマナイ、坊主山、茶津4号洞穴、南有珠7、礼文華、大川GP2(擦文時代)の各遺跡から出土した人骨を対象とした。茶津4号の4例、礼文華1号、オンコロマナイ1A号および擦文時代の大川GP2が渡来系と判別された。ただし、オンコロマナイの1体と茶津4号洞穴の5体はオホーツク系の可能性が示唆された。一方、大川と礼文華については弥生人的であった。 一方、古墳時代人の個体ごとによる判別の結果は、九州北部では渡来系の要素が最も濃厚であるが、関東ではその比率が下がるという地理的勾配がみられた。これらの地域での縄文系対渡来系の比率は、九州北部で1:9、近畿・中国が2:8、関東では3:7であった。東北地方は、サンプル数が限られるが渡来者の遺伝的影響が明らかに当地域まで及んでいたことが示唆された。従来の歯冠計測値の地域ごとの平均値による比較では、このような明瞭な地域差はみいだせなかったことであり、今回のように個体レベルで分析した意義は大きい。また弥生時代から古墳時代における人の移動は、本州のみならず北海道においても予想以上にダイナミックであり、朝鮮半島のみならず沿海州などの北方からも大陸系の集団が渡来していたことが示唆された。
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