研究課題/領域番号 |
10116108
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
坪井 善明 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (00163874)
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研究分担者 |
ウメッシュ ハ゜ワンカール 上智大学, アジア文化研究所, 講師
加藤 栄一 新潟産業大学, 人文学部, 教授 (50013264)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | アルメニア商人 / 香料貿易 / フランシス・ザビエル / イギリス東インド会社 |
研究概要 |
アルメニア人は1498年のバスコダ・ガマの渡来以前にインドに定住しており、ポルトガル人がインドに来た時には、同じキリスト教徒として色々な協力をしている。フランシス・ザビエルもアルメニア人宣教師とコンタクトしている事が歴史資料から明らかにされている。16世紀・17世紀のイスラム教のムガール帝国でも、アルメニア人は優遇されていて(特にアクバール帝統治期)、アクバール帝の妃の一人はアルメニア女性であった。また、17世紀のムガール帝国では、外来のヨーロッパ人にアルメニアの女性を妻として提供する習慣が残っており、イギリス東インド会社を1612年に設立したウィリアム・ホーキンズはアルメニア女性を妻としていた。 インドにおけるアルメニア人の居住区は17世紀以降発展し、1666年にはマドラスに、1690年にはカルカッタに勢力を伸ばした。1688年にはイギリス東インド会社とアルメニア人コミュニティの間に協定が結ばれて、アルメニア商人はイギリス東インド会社の活動地域では優遇された。また、アルメニア商人は1612年からビルマにも活動領域を伸ばし、17世紀・18世紀を通じて、ビルマとマドラスとの間の貿易に従事した。さらに、1770年から1824年まで、ジャワ、スマトラ、モロッカ諸島の香料貿易にアルメニア商人が関与したという資料も存在する。 他方、アルメニア商人のコミュニティは、16世紀から18世紀にかけてヨーロッパ各地に広がっており、印刷所ができた年代を指標にとると、ヴェニス(1512年)、パリ(1633年)、アムステルダム(1658年)、ロンドン(1736年)という具合になっている。 本年度は、ウメッシュ・パワンカール氏はゴアのザビエル研究所とも連絡をとり、ニューデリーの書店にも協力していただき、インドにおけるアルメニア商人の活動に関する資料を収集している。また、加藤栄一教授は、平戸や出島に来航したオランダ人の従僕として一緒にやってきたペルシア人風(アラブ風)の人々について、彼らがアルメニア商人ではなかったかの洗い出しをしているが、まだ確定してはいない。坪井は、英語やフランス語で書かれたアルメニア人の歴史や社会・文化についての関連書物・資料を包括的に収集すると同時に、香料貿易に関するインドネシア及びマレー半島(シンガポール、マレーシア)でのアルメニア商人を追っている。このように、現在資料や現地調査をふまえ研究が進行中であり、アルメニア商人に関心をもつ研究者とのネットワークも広がりつつある。確定的な証拠なまだ見いだしていないが、平成11年度、12年度も調査研究を続行したい。
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