研究概要 |
[パルサー磁気圏における粒子加速] 本年度の最大の成果はOuter Gapと呼ばれている加速領域について電場と電子陽電子対の生成をself-consistentに解くことができたとこである(Hirotani & Shibata 1999ab)。1次元モデルという制約があるが、加速しながら電子陽電子対を定常的に生産する解があることがわかった。 一方、Polar Cap Modelについては加速電場が電子陽電子対が生成されてもシールドされないことが昨年に示されていたが、粒子ビームと対プラズマの間のfrictionがあればシールドされることが示された(Miyazaki,Takahara,Shibata in preparation)。最後に、観測的側面では、ASCAによる解析が進み、ミリ秒パルサーPSR 1937+21からx線パルスの検出に成功した(IAUC 7030)。ミリ秒パルサーは普通のパルサーに較べ4桁も磁場が小さいので、この観測によってパルサーからの放射機構の解明が大きく前進すると考えられる。 [周辺ネビュラにおける加速] パルサー風から高エネルギー粒子と磁場が運ばれ衝撃波をつくるとき衝撃波後方では粒子が再加速されシンクロトロン放射で光る星雲が形成される。この星雲のスペクトルを計算した。特に、年令を経た星雲のモデルが必要であることを考えて星雲の中の流れが非定常な場合の計算をした。カニ星雲のスペクトルについては従来の結果を再確認できた。より古い星雲についての観測との比較および逆コンプトン効果のガンマ線スペクトルの計算は今後の課題である。
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