r+d→K^++Λ(Σ)十N-反応(d、Nはそれぞれ重陽子、核子の略)の計算を行った。この反応の終状態でめハイペロン、核子間相互作用を精密に調べることが目的である。(本研究課題の前段的な解析であるが、定式化、数値計算、成果発表に一年間程度を必要とした。)これまでこの反応の研究においては、素過程r+N→K^++Λ(Σ)についての情報を得ることが主目的であり、ハイペロン-核子相互作用の働かない力学的領域が選択的に調べられてきた。本研究では、ΛN-ΣN結合相互作用を厳密に取り入れた計算を行った。 まず、この反応過程の断面積等を求めるための定式化を行った。反応過程は運動量空間での積分方程式として表現されている。("Final-state hyperon-nucleon interaction in the inclusive K^+photoproduction from the duteron“と題してNuclear PhysicsAに発表予定)数値計算は、現時点では最もモダンなハイペロン-核子相互作用であるNijmegenグループの二つの相互作用NSC89およびNSC97fを用いて行った。また素過程r+N→K^++Λ(Σ)に振幅については、C.Bennhold.T.Martらによって開発された最新のものの提供を受けた。Inclusive反応の計算を行ったが、ハイぺロシ-核子終状態相互作用の効果が見られる。特に二つのK^+ΛN、K^+ΣN閾値の近傍で顕著である。K^+ΣN近傍では相互作用NSC89、NSC97fに対して明確な差が見られ、、NSC97fはcuspに似たピークを示す。このピークは我々の別の解析によって、ΛN-ΣNのS行列の極に起因することが分っている。SP-ring8および米国Thomas-Jefferson国立研究所での実験が期待される。
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