研究課題/領域番号 |
10120216
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
百瀬 孝昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10200354)
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研究分担者 |
志田 忠正 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60025484)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 固体水素 / 量子固体 / レーザー分光 / 赤外分光 / 高分解能分光 / トンネル反応 / メチルラジカル / 星間分子 |
研究概要 |
本研究の目的は、固体パラ水素をマトリックスとするマトリックス分離法を用いると、気相と同程度あるいはそれ以上の分解能で溶質分子の振動および回転分光が可能であるという固体水素の特性を生かし、化学的に活性な状態を持つ分子を固体パラ水素内に生成し、その分子とまわりの水素分子との極低温におけるX+H_2→XH+Hの型の反応素過程のダイナミックスを高分解能レーザー分光法を用いて追跡することにより、反応に寄与するトンネル現象などの量子効果の寄与を分光学的に研究することにある。本年度は、1)メチルラジカルと水素分子との反応および、2)エチルラジカルの関与する反応を主として研究した。固体水素中に捕捉したヨウ化メチルの光分解により生成するメチルラジカルと水素分子との反応を赤外分光法により追跡し、メチルラジカルは基底状態では水素分子と反応しないが、重水素化したメチルラジカルでは純粋なトンネル反応によって基底状態でも水素分子と反応してメタンを生成することを明らかにし、そのトンネル反応の速度を決定した。この反応速度には媒質の量子性が影響していると考えられることから、現在さらに反応速度の温度依存性の観測を試みており、その解析から媒質の量子性がトンネル反応に及ぼす影響を明らかにしたいと考えている。一方、エチルラジカルの関与する反応では、まずエチレンが水素原子と反応してラジカルになるプロセスが光のない状態で進行するが、一方でラジカルがさらに水素原子と反応してエタンになる過程は非常に遅く観測できないことを明らかにした。これらの反応は星間における分子進化の過程で重要な役割を果たすと考えられていることから、これら一連の反応の動力学解析を現在進めているところである。
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