研究課題/領域番号 |
10120228
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
首藤 啓 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (60206258)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 量子カオス / トンネル効果 / 複素古典力学 / カオス / ジュリア集合 |
研究概要 |
多自由度のトンネル現象に対する基礎理論構築を研究の目的とすた。特にここでは、複素半古典論を用いることにより、カオスが関与する多自由度トンネル現象を、動的トンネリングに対して調べ、以下の成果を得た。 1. トンネルに関与する複素軌道が、従来のトンネル理論で考えられていたような一本の(あるいはその繰り返し)ではなく、時間とともに指数関数的に増大する本質的に多数のトンネル軌道からなっていることを明らかした。また、それらの絡み合いにより、これまでのトンネリングでは見られない新しいクラスのトンネル現象(カオス的トンネル効果)が発現する機構を完全に解明した。 2. カオス系のトンネル現象に重要な複素トンネル軌道と、複素力学系研究の中での中心的概念であるジュリア集合との関係を発見し、多数の複素経路の候補の中から連鎖構造をもつ特徴的な経路のみがトンネル経路として峻別される数理的な背景を明らかにした。 3. 複素半古典論を実行する際に避けて通ることのできない複素軌道の寄与・非寄与問題(ストークス現象)に対し、複素経路間の"木構造"と指数関数的最大優越の原理を組み合わせた作業仮説を提案し、高次元のストークス現象の立場からその成立基盤を検討した。 本補助金により購入したワークステーション用ハードディスクは、複素半古典論において複素古典軌道の探索を数値的に行う際、大容量データのストックとグラフィックスの高速化を促し、とくに上記1。に関する研究を促進した。
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