研究概要 |
適切な冷間-温間加工を施した7075AlI合金の高温変形中に微細粒組織の形成と超塑性が同時に起こる現象に関して,冷間圧延率を25,50,67%の3種類に変化させて高温変形特性に及ぼす圧延率の影響を系統的に調査した.動的連続再結晶に伴う細粒化過程と超塑性との関係並びに両者の発現機構について検討を加え,次の諸結果を得た. 1. 冷間圧延率の増加は試験片内単位体積当たりの粒界密度を増加させること,偏平化した結晶粒の厚さ方向の粒径を減少させるために,高温変形に伴う微細粒の形成が促進されると共に超塑性特性を向上させた. 2. 高温変形組織のTEM間によれば,引張方向に平行なパンケーキ状旧粒界での粒界すべりとそれに伴いサブグレンの回転が変形初期から頻繁に生じた.冷間圧延直後のほぼ直線状のなめらかな旧粒界は,高温加熱中に亜結晶粒の形成に伴い凹凸化した. 3. この組織に高温変形を加えると,引張方向に対し傾斜した粒界部分で局部的に粒界すべりを起こして亜結晶粒間の方位差を増加させ,その周囲の亜晶粒界を高傾角化させる.その粒界上での粒界すべりとそれに伴い粒回転を起こす.それが隣接領域へ伝播し続け,その結果高ひずみで微細粒組織が生じると結論される.これが本合金における動的連続再結晶過程である. 4. 冷間圧延で導入したパンケーキ状結晶粒界上での粒界すべりが活発な生起するため,微細粒の形成と動じに超塑性発現に対して粒界すべり大きな役割を果たすと結論される.
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