研究概要 |
超塑性現象は,金属に限っても,Fe基,Al基,Ni基,Ti基,Mg基など多くの合金系に現れ,また,それらの金属間化合物においても現れる.この現象は,結晶粒が10μm以下の微細になると高温変形能が増加することに起因している場合が多い.従って,結晶粒界・相界面が大きく寄与しており,結晶粒界・相界面の構造を明らかにすることが重要である.本研究では,超塑性現象の理解に役立てるため,Ni-Mo-X(X=Hf,Ti,Al,Ta,Nb,W,V,Fe,Cu,Co,Ge,Mn,Bなど)合金中の規則相を対象に,アトムプローブフィールドイオン顕微鏡(APFIM)を用いて,規則合金の相界面構造に関する超微視的構造を原子スケールで明らかにすることを試みた. Ni(75at%)-Mo(23)-Ti(2)合金の規則相/不規則相界面の研究では,Pt_2Mo型規則相は,条件に応じて,ある界面は平坦になっており,又,別の界面は局面で構成されていることがわかった.この様に,規則相と不規則相の界面でも,原子スケールで見ると種々の幾何学形状をとることがわかる. Ni(75at%)-Mo(20)-Al(5)合金の規則相/規則相界面の研究では,界面を見ると,DO_<22>型規則相とDO_<22>型規則相との間には必ず1-3nmの母相が存在しており,2つの相は接触していない.一方,Pt_2Mo規則相とDO_<22>型規則相の界面はぴったりと接している.このように,規則相同士でも接触したり非接触であったりすることがわかった. このような研究成果からわかるように,相界面を原子スケールで調べると種々の構造をとることが明らかになった.これらは超塑性現象との関連を考察する重要な資料となり得よう.
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