研究概要 |
急冷凝固法により密度2.0Mg/m^3以下で,500MPa以上の引張強さ,すなわち250N・m/g以上の高い比強度のマグネシウム合金材料が得られている.このような高比強度の急冷凝固Mg合金において,材料組織と常温強度及び超塑性変形特性との関係を検討して,Mgの軽量性という最大の特長を生かして,高い比強度で広い変形条件下で超塑性を発現する材料を得るための材料組織と合金組成を明らかにすることが本研究の目的である.急冷凝固によって第2相粒子の微細分散を図り,熱間押出等による固化成形中に微細結晶粒組織を形成させることが,強度を高め,かつ超塑性を発現させるための基本である.代表的な実用合金系を形成するMg-Al-Zn3元系合金について,材料組織と常温及び高温での機械的性質の関係を検討して,常温強度と超塑性の二つの観点から最適な材料組織と合金組成を明らかにした. 常温ではAl+Zn量(at%)の高い合金が高い引張強さを示し,中でも12mass%Zn-8mass%Al合金では最高の447MPaの引張強さが得られた.573KではAl+Zn量(at%)の高い合金ほど高い伸びを示す傾向にあり,初期ひずみ速度2×10^<-2>/sにおいて400%以上の超塑性伸びを示すためには8at%以上のAl+Znの添加が必要であった.最も高い超塑性伸びを示したのは10mass%Al-5mass%Zn合金で,900%を超える伸び値が観察された.Al+Zn量の多い合金ほど第2相粒子の生成量が多くなり,これを急冷凝固により微細に分散させることによって,常温強度が上昇し,かつ高温における超塑性伸びも増加する.Al+Zn添加量をさらに増加させることにより,常温でより高強度で,高温で高い超塑性伸びを示す材料が得られることが期待される.
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