研究概要 |
a-Si:H/a-Si_<1-x>C_x:H傾斜超格子アバランシェフォトダイオード薄膜において、入射したフォトンは、これまでの研究より、電子がこのバンドオフセット領域で,ほぼ100%の確率でインパクトイオン化を起こすことがわかった.本年度は、この傾斜超格子アバランシェフォトダイオード膜の雑音特性を評価した.一般的なアバランシェフォトダイオードでは増倍率が増加するに従い,アバランシェ増倍率の揺らぎに起因する過剰雑音:Fが発生する.根本的にアバランシェ増倍現象は統計的な事象であり,この揺らぎを避けられない.一方,傾斜構造を持つアバランシェフォトダイオードは、バンドオフセットの領域のみでインパクトイオン化を引き起こさせることが可能である.したがってインパクトイオン化の回数は傾斜構造の挿入段数で制御が可能であり,インパクトイオン化の回数の揺らぎはない.このことを明らかにするために,a-Si:H/a-Si_<1-x>C_x:H傾斜構造を持つアバランシェフォトダイオード、および傾斜を持たない通常のa-Si:Hアバランシェフォトダイオードの過剰雑音特性を評価した.その特性を図に示す.これらの過剰雑音は、フォトダイオードに逆バイアスを印加しているときに,波長500nmの単色光を照射し、そのときの光電流をFFT(高速フーリエ変換器)をもちいて測定している.通常のフォトダイオードでは増倍率が増加するにつれ,過剰雑音が増加しているのに対し、傾斜横造を有するフォトダイオードにおいては、過剰雑音係数は1で変化せず,過剰雑音を発生していないことがわかった.
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